「言葉」だけのやりとりは誤解を生む
まず、顔を合わせている状況を想像してみてください。
ふだん顔を合わせている場面では、直接口にしている言葉だけではなく、表情や声色、身振り手振りなどの情報もコミュニケーションに活用しています。そのため、話し手の意図と受け手の解釈が大きくズレることは、ほとんどありません。
笑顔から飛び出た「やばい」という言葉にはポジティブな意味も感じられますが、今にも泣きそうな顔でポツリともれた「やばい」にはネガティブな印象しか受けないですよね。このように表情や声色などの非言語的な情報(言葉以外の情報)には、話し手の意図と受け手の解釈のズレを防ぐ機能があるのです。
そして、この機能のおかげで私たちは円滑にコミュニケーションができます。しかし、SNSやインターネット掲示板上の書き込みではどうでしょうか。
表情も声色も身振り手振りも見えません。相手がどんな属性を持つ人かもわからないことも多いのです。このように非言語的な情報が欠落している場合、コミュニケーションの受け手は発信者(話し手)が意図していなかった方向に書き込みを解釈してしまう可能性が高まります。
その結果、双方の間で認識のズレ、摩擦が発生し、大きな揉め事の火種となることがあるのです。大人もビジネスにおいてメールやSNSを使うことがありますが、ネガティブな内容(謝罪・注意・催促……)などを伝えなければならない場合、メールではなく、極力電話で伝えるという人もいます(謝罪の場合は会いに行くというのが、一番誠意が伝わると考えている人が多いですよね)。
文字だけで伝えた場合、相手は送信者の言葉を数割増しくらいに強く感じてしまうもので、それがきっかけで不信感を持たれたり、怒りを買ったりして、新たに大きなトラブルに発展してしまうかもしれないからです。