答えは自分で辿り着く

参加者や学生たちとのオンライン対談で印象的だったのが、パッチがそれぞれの質問に対して、明確な「解答」ではなく、彼らに気づきを与える「問い掛け」で返していたこと。これは彼の考え方の根底に「答えは他人に与えられるものではなく、本人が自分自身で気付くもの」という思想があるからです。

たとえば、「人生100年時代の医療には何が必要だと思うか?」という質問には、「医療は治療だけがゴールなのか? 薬を処方するより友達を作ることで回復する患者はいないか?」と答え、「自殺やいじめが問題になる日本の教育はどうあるべきか?」という質問には「なぜ学校で愛を教育する授業がないか? 子供たちが幸せに生きるために必要な学びとは何か?」と返していました。

このように、所属する組織や分野が「誰のため、何のために存在しているのか」と質問者に問い掛けることで、本質を見失わないことの大切さを伝えていたように感じます。

ウェルビーイングを実践する医師に学ぶ 「人生100年時代」を生きる3つの秘訣_3
オンライン対話イベントには多くの医療系学生が参加
ウェルビーイングを実践する医師に学ぶ 「人生100年時代」を生きる3つの秘訣_4
多くの笑顔を生み出したクラウンツアー

また中学生・高校生向けのリアル対話イベントでは、パッチ自身が学生時代に同性の恋人がいたエピソードなどを交えながら、他者よりも自分の心の声(何を大切にして、何をしているときの自分が好きか)に従って生きることの大切さを説いていました。

特に大きな悩みを告白した学生に対し、ほかの学生が駆け寄って支える場面では、教員を含む多くの来場者が感情を揺さぶられ、涙する人も。多くの来場者が、言葉よりも行動を起こすことの重要さに改めて気付かされたことと思います。

ウェルビーイングを実践する医師に学ぶ 「人生100年時代」を生きる3つの秘訣_5
オンラインで対話をするパッチと学生たち