インクルーシブ公園は現代の「理想形」

残念ながら、昭和の風景には当たり前にあった公園や遊具は、現代ではほとんど見かけることはなくなっている。

国土交通省「都市公園等における遊具等の設置状況・安全点検実施状況(令和元年度末時点)」によると、都市公園における遊具の設置数は、いわゆる一般的なブランコである「踏み板式ブランコ」が54,384基、「すべりだい」が50,992基なのに対し、箱型ブランコは2,200基、回転塔は1,457基、吊り輪は139基とかなり少ない。

昔ながらの遊具が公園から姿を消した理由は主に、遊具による重大な事故発生の防止や老朽化など、安全性を重視したことによるものが大きいのだそう。

昭和の遊具が姿を消してしまったこと自体は寂しく、残念だ。しかし今回、令和の「インクルーシブ公園」を体験して感じたことは、確かに安全面への配慮がなされているが、物足りないわけでは決してなく、むしろ興味深く遊べる遊具ばかりだったということ。

昭和時代の公園と内容は大きく変化しても、「遊具の楽しさ・おもしろさ」自体は変わっていない。

すべての子どもが安心して楽しむことができ、細部にまでこだわっていて、種類も遊び方も多様。デザイン性も高くハイセンス。令和のインクルーシブ公園は、遊具の「理想形」ではないかと感じた。

画像提供/一般社団法人 日本公園施設業協会(昭和の公園、遊具)