安倍晋三元首相銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者の壮絶な生い立ちが、さまざまなメディアで報道されている。とりわけ話題になっているのが、実母が入信している旧統一教会(世界平和統一家庭連合)についてだ。

教会への多額の献金により、一家の暮らしが逼迫し、山上容疑者は精神的にも経済的にも苦しい人生を送ってきたと報道されている。SNSでは、山上容疑者と同じような境遇に置かれた「2世信者」たちが次々と苦悩を打ち明けている。

では、もしも身近な家族や友人が、カルトや悪徳セミナーにハマってしまったら周囲は何ができるのだろうか? 立正大学教授(社会心理学)で、日本脱カルト協会代表理事の西田公昭氏に話を聞いた。

宗教法人、政治団体、NPO、NGOでも注意

――非科学的で異端な主張をする集団、カルト。旧統一教会、オウム真理教など新興宗教のイメージが強いですが……。

西田公昭(以下、同) 最初に知ってほしいことは、新興宗教がそのままカルトを意味するわけではないということです。本来、神様仏様は全知全能の存在で、条件付きで人を救わない。その存在を神と信じるだけで救われるはずであり、多額の献金は必要ありません。しかし旧統一教会に関しては、この世の全ての財は教祖である文鮮明に帰するべきだという万物復帰の教義があり、信者には持っている財産を献上しなければ救いはないという強迫観念がつきまといます。

教団の目的が支配と金であるという点で、旧統一教会はカルトだと言えます。それにもかかわらず、宗教法人のお墨付きを与えられてしまった。実は、こうした「宗教の顔」をする団体はたくさんあるんです。表の顔は政治団体や自己啓発セミナー、NPO、NGOなど公的な認定や権威付けにより見分けがつかない。そのため気軽に関わりを持ってしまいがちです。たとえ10代の学生であっても知らず知らずのうちカルトに接近されてしまっています。

カルトから大切な人を守るための心得。もし「洗脳」されたらどうすれば?_1
写真/shutterstock
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