子どもは友だちの意見よりも「自分が正しい」と思い込みがち
――入学やクラス替えの時期、よくある友だちづき合いの悩みなどありますか?
たいていの学校は、生活や勉強のルールをどのクラスも同じように決めていると思いますが、ときにはちょっとした違いもあります。
例えば、給食のおかわりのルール。
「一度おかわりのジャンケンに参加した人は、別のジャンケンには参加できない」というルールのクラスもあれば、「一度おかわりのジャンケンに参加した人でも、負ければ次のジャンケンに参加できる」というルールのクラスもある。新しいクラスに集まった子たちはそれぞれ、慣れ親しんだ「クラス文化」を持ち寄ってくるんです。
さらに子どもたちは、「自分の知っていることが正しい」「知らないことは間違っている」と思い込みがちです。「自分の知っているルールこそ正しい」と主張するので、意見が合わず、友だちとの関係がギクシャクすることも……。
世の中には様々な考え方や習慣を持つ人がいます。誰かが間違っているのではなく、「お互いの意見が違う」だけですが、子どもにはまだ理解できません。このすれ違いが、友だち関係の悩みにつながることがあるのです。
だから、「みんなそれぞれ違うよね。じゃあ、このクラスではどうやっていこうか」と、話し合う場を用意して、みんなが受け入れやすい文化を作り上げていくのが、タンニン(担任)としてのボクの腕の見せ所なわけです。
子ども同士の小さなもめごとは「成長の糧」
――新学期はすれ違いが起こりやすい時期なんですね。新しいクラスで友だちと上手くやっていけるかどうか、心配な親御さんもいると思うのですが。
学校はいろんな人に出会って「ぶつかり稽古」をするところです。友だちと関わっていくなかで、子どもたちは狭い世界を少しずつ広げていきます。自分には当たり前なことも、友だちにとっては違うのだと気づくからです。
「目玉焼きには醤油が一番合う」という人もいれば「絶対にソースだ」という人もいますよね。人は人と交わることで、世の中にはいろんな人がいるとわかります。子どもも、友だちとの関係がなければ“家の常識”しか知らないことになってしまう。友だちとつき合い、ときにもめることは、子どもが成長している証なんです。
だから「友だちとの小さなもめごとは成長の糧だ」と理解しておくと、いざというとき親御さんも慌てないかもしれません。