ファンにはうれしいこだわりのトリビア ※ネタバレあり

さてさて、MCU映画は細部にさまざまな仕掛けがあるのが特徴。ちょっとわかりづらい部分をネタバレも含めて解説してみる。

◇絢爛豪華な神々の世界…ゼウスを演じたのは?
ゴアと戦う助力を得ようと神々の世界を訪れたソーたち。贅を尽くしたプロダクションデザイン、宇宙中の神々の凝ったキャラデザイン(小籠包の神って…笑)と見どころ満載で、ワイティティ監督が黒澤映画の血しぶきを意識したという、黄金の血が盛大に飛び散るバトル場面も楽しいが、なんたってゼウスに笑える。
北欧神話よりも古いギリシャ神話の最高神ゼウスを演じたのは、まさかの名優ラッセル・クロウ。そういえばアカデミー主演男優賞に輝いた『グラディエーター』(2000)や箱舟伝説のタイトルロールを演じた『ノア 約束の舟』(2014)と、紀元前やら神話には縁が深いし、おまけシーンを見ると、今後ヴィランとして出てきそうな感じもあるし、楽しみ。

頭からっぽにして楽しもう! 『ソー:ラブ&サンダー』がざっくりわかる雑解説_5
神話好きにはたまらん神の国でのシーン。ヴァルキリー(テッサ・トンプソン/左)も健在

◇ソーの背中のタトゥーは?
神々に裸にされちゃって目の保養をさせてくれるソーだが、その背中にはタトゥーが。「RIP LOKI」=ロキよ、安らかに眠れ…とあって、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)で宿敵サノスに殺された弟ロキ(トム・ヒドルストン)を悼んでいることが示される。
何度も死んだと思わせてはうまい具合に生きてたずる賢いロキだけど、ついに…。
だがしかし、「Disney +」ではドラマシリーズ『ロキ』が配信中。これは『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で四次元キューブを拾って別次元に逃げたロキのその後の話で、つまりまたまたマルチバース! ややこしいのでここでは割愛するが、いつかまたロキがソーに相まみえることもあるのかもしれない。タトゥーは早計だったかな…。

◇ジェーンの力の元は?
末期がんでありながら、ムジョルニアを手にしたことで健康どころかスーパーパワーまで身につけたジェーン。実はムジョルニアには、高潔な心の持ち主でなければ使えないというルールがあり、アベンジャーズのメンバーでも持ち上げられたのは、とびきり気高いキャプテン・アメリカと、人工知能体のヴィジョンだけ。というわけで、ジェーンの心も非常に美しいのだろう。
ムジョルニアは持ち主が呼べば世界の果てからでも飛んでくる強力にして忠実なハンマー。擬人化が進んで、ソーの現在の武器であるストームブレイカーと嫉妬合戦を繰り広げるのがオカシイ。
助けられたジェーンだが、結局は倒れ、医師から「病と闘う力がなくなっている」と告げられる。つまるところ、ムジョルニアのパワーは、持ち主の精神が作り出すものなのかもしれない。ジェーンの心の力はすべて、短い期間にムジョルニアの威力として具現化されてしまったというわけ。

頭からっぽにして楽しもう! 『ソー:ラブ&サンダー』がざっくりわかる雑解説_6
ジェーンのこの姿がもう見られないのは寂しい
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◇最後に出てきたあの人は?
というわけで、戦って死んだジェーンが、戦士の死後の国ヴァルハラへ昇天(?)するのは納得だが、おまけシーンのオーラスで彼女を迎えた男性は、劇中何度も言及されるヘイムダル(イドリス・エルバ)だ。誘拐されたアレックスのお父さんで、一瞬でどこへでも運んでくれる虹の架け橋「ビフレスト」の最強の番人。
しかし、ああして死後の世界がまるで別次元の宇宙のように描かれると、このあとまた登場もありえる?という気がしてくる。そうなったら、なんでもありにもほどがあるだろう…とも思うが、ま、マルチバースがあるとすでになんでもありだから、柔軟な心で今後のMCUを見ていきたい!

『ソー:ラブ&サンダー』(2022)Thor:Love & Thunder 上映時間:1時間59分/アメリカ

頭からっぽにして楽しもう! 『ソー:ラブ&サンダー』がざっくりわかる雑解説_7


監督:タイカ・ワイティティ(兼コーグ役)
製作:ケヴィン・ファイギ
宿敵サノスとの最終決戦後、戦いから身を引いて、ガーディアンズと共に宇宙を旅していたソー(クリス・ヘムズワース)。“神殺し”ゴア(クリスチャン・ベール)の驚異が迫ることを知り、地球の新アスガルドへ戻るが、襲撃に対抗する最中、ムジョルニアの力でもうひとりの“マイティ・ソー”となった元カノ・ジェーン(ナタリー・ポートマン)と再会を果たす。連れ去られた子供たちを救出し、ゴアを止めることができるか?
アベンジャーズ最強のひとりソーの新たなる冒険を、前作『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)に続きタイカ・ワイティティ監督がユーモアと派手な演出で魅せる!

©Marvel Studios 2022

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