超初心者のためのざっくりなMCU解説
コロナ禍のため延期を繰り返したあげく、東京では3度目の緊急事態措置中に上映され、いまいち盛り上がれなかった『ブラック・ウィドウ』(2021年7月9日公開)を経て、待望のMCU最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(以下『MoM』)が今年5月4日に封切られた。ファンは狂喜乱舞だが、連れられて見に行ったもののさっぱりわからなかったという声も聞く。
え? そもそも<MCU>って言葉からしてわからない?
では、スーパーヒーロー大好きな、ロードショー編集長・杉原が、超超初心者にもわかるように、そこから解説させていただく。
MCUとはMarvel Cinematic Universe=マーベルの映画作品のシリーズ、またそれらが作り上げている世界のこと。マーベルというのは「ハルク」とか「スパイダーマン」とかを出しているアメコミ出版社の老舗で、2008年の『アイアンマン』に始まる、コミック原作の映画も大ヒットさせている。さまざまなスーパーヒーローが参集して結成した<アベンジャーズ>…意味は“復讐者”…を中心に延々製作されているシリーズがMCUというわけだ。
ちなみに「バットマン」とか、私の永遠の恋人「スーパーマン」はライバル社のDCコミックが出版。こちらのヒーローたちも<ジャスティス・リーグ>というグループで活動し、映画シリーズが製作されているので、混同しないように。
MCUは映画だけで25本以上。これを追うだけでもひと苦労だが、マーベルがディズニー傘下に入ってからは、スピンオフのドラマが何本も「Disney +」で配信され、あわせてすべてを見ようとすることが「修行」と呼ばれるのも納得の分量だ。いろんなヒーローに関連キャラがわさわさ出てきて、違う宇宙や時代に張り巡らされた伏線は複雑きわまりないが、がっちり“修行“して世界観を理解すると、物語がかみ合ったときの感動は大きい。
が、そんな暇はないなかで『MoM』を手っ取り早く理解したいなら、『ドクター・ストレンジ』(2016)→『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)→『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)をこの順で見ておけばいいだろう。
その時間もない場合は…要約すると、事故で大ケガを追った天才外科医スティーヴンが後遺症克服のために武術の修行をしていたら、ものすごい魔法が使えるようになって、地球の危機を救うというのが『ドクター・ストレンジ』の基本ストーリー。見どころは、想像と創造の粋を尽くして派手に展開する“魔法”の視覚効果、そして気位が高く傲岸なドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)が、個性豊かなスーパーヒーローたちや脇のキャラとぶつかり合ううち、心を開いていく過程もまた楽しい。
そんな彼に新たに“マルチバース”をめぐる問題が降りかかるのが『MoM』。本作をもう少しくわしく知りたい方のために、疑問に思われるだろうポイントを以下にまとめた。順番に読んでもよし、知りたい質問のみクリックいただいても。
それで興味がわいたら…ようこそMCU修行の道へ!
●タイトルにも入ってるけど、そもそもマルチバースってナニ!?
●敵のワンダって、以前は仲間だったの?
●やたらと出てくる「指パッチン」とか「失われた5年間」ってなんのこと?
●ストレンジ役の俳優さんがかっこいいけど、誰?
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)
大ヒット公開中/ウォルト・ディズニー・ジャパン配給
Doctor Strange in Multiverse of Madness/上映時間:2時間6分/アメリカ
監督/サム・ライミ 脚本/マイケル・ウォルドロン
出演/ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、キウェテル・イジョフォー ほか