大物カップル続々登場!
『バイオハザード』シリーズで知られるミラ・ジョヴォヴィッチも、カンヌで世界に飛び出すまさにその瞬間を目撃した俳優のひとりです。ヒロインに抜擢された『フィフス・エレメント』(1997)が、第50回で世界初上映されました。併せて行われた日本のメディア向けの囲み取材でのこと。ミラ単独だったはずが、途中でリュック・ベッソン監督がやってきて、記者たちが目のやり場に困るほどの熱量でラブラブしはじめたのです。離れそうにないので、ついでに一緒に写真撮影。これは監督と出演者の関係じゃないなと思ったら、同年に結婚しました。
カンヌはきっと、スターたちをも舞い上がらせてしまう特別な空気をまとっているのでしょう。思わぬラブラブ現場を目撃した例はほかにもあります。イーサン・ホークとユマ・サーマンです。イーサン監督&ユマ出演『チェルシー・ホテル』(2001)が第54回で上映されました。イーサンにとっては初の監督作。それがカンヌ、しかもフランス映画監督協会主催で、ポン・ジュノ、ソフィア・コッポラ、北野武らを輩出した「監督週間」での初披露とあって緊張もあったのでしょう。上映終了後に会場から拍手喝采が起こると、隣に座っていたユマと熱烈キス。ウォーーー‼︎と興奮しながらカメラのシャッターを切りました。
その後、上映会場を出て徒歩でカンヌのメインストリートを移動しようとしたイーサン&ユマ。「これは貴重な瞬間」と写真を撮っていたら、あっという間にほかのカメラマンたちも群がってきてちょっとした騒動に。屈強な海外のカメラマンたちにもみくちゃにされて私が悲鳴をあげていたら、ユマが「彼女を助けてあげて!」と私の手を引っ張って助け出してくれたのです。思わぬところでご本人たちの最前列に来てしまった私。お礼を述べつつ、至近距離に来たついでにカメラでパチリ。その瞬間がこちら。めっちゃ険しそうな顔をしていらっしゃる。ごめんよ、ユマ。
ちなみに今回取り上げたカップルはすべてその後、お別れをしました。そういえばモニカ・ベルッチとヴァンサン・カッセルも『アレックス』(2002)がコンペティション部門に選出された第55回で取材したし、アンジェリーナ・ジョリー&ブラッド・ピットも第64回で仲睦まじい姿を撮影しましたっけ。このときはアンジーが『カンフー・パンダ2』(2011)、ブラッドが『ツリー・オブ・ライフ』(2011)と別作品で現地入り。ブラピの記者会見が終わる頃にアンジーが迎えに行って、人目を憚らず並んで会場を後にするくらいアツかった。
そういう意味でもカンヌという場所では、役者の成長だけではなく、彼らの人生の一端を見つめる場所でもあったとなとしみじみ。これだから映画祭巡りはやめられない。
サムネイル写真 © Abaca/amanaimages