なかなかの読み手だと伺わせるヴィクトリアさんだが、こうしたコンテンツが日本留学のきっかけになったという。
「入門、と言っていいですね。ゲームやアニメを入口に、日本の文化や文学に興味を持つようになる。どんな背景でアニメという文化が成り立っているのか知りたくて、日本のことを学んでいく」
ウィルソンさんは「私は逆でしたね」と言う。
「まず日本語に興味があったんです。小学校のときに、友だちがどこからか日本の教科書を持ってきたんです。そこに書かれていた漢字を見て、とてもきれいだと思った。だから日本語を勉強したくて、そのための手段としてアニメを観はじめたんです」
アニメや漫画といえば、海外では「子供のもの」というイメージも強いが、日本の作品で描かれているのは大人も唸るストーリーや深い世界観だ。マリスさんも、そこにハマったという。
「オーストリアで『コナン』が放映されたときに、びっくりしたんです。アニメでこれだけ真面目なテーマで、サスペンスで。そこからいろんな作品を観るようになって、日本のアートスタイルが大好きになりました」
ヴィクトリアさんも言う。
「ひとつのジャンルだけで何十もの作品が出ていて、好きなものを選べる多様さがあります。でもウクライナでは、本当に変わった人の、『中二病』を患っている人の、子供っぽい趣味みたいに見られることがありますよね」
もちろん「中二病」のくだりも日本語で説明するヴィクトリアさんだが、ウィルシンさんも同調する。
「カナダではオタクの友だちがいないと楽しみにくいです。漫画やアニメだって、大人も楽しめますよってことが知られていない」
そのあたりの「偏見」に憤慨しているのは、日本人のファンと同じなのかもしれない。