当初のギャラリーは50人程度⁉︎
だから、第1回はマスターズというタイトルではなくて、プログラムを見ると「ファースト・アニュアリー・インビテーショナル・トーナメント(国際招待試合)」という名前でスタートしています(1940年からマスターズに改称)。
この第1回っていうのは、ほとんどギャラリーがいなかったんですよ。そして、第2回には、ジーン・サラゼンが現在の15番ホールのパー5でアルバトロス(ダブルイーグル)を取ってプレーオフに進んで勝つという白熱の展開がありました。
この第2回のときですら、ギャラリーはたった50人程度だったんだけど、その後サラゼンが赤十字のチャリティーマッチで世界のあちこちに行った際に、何万人という人が「あのアルバトロスはすごかった!」と言っていたそうなんです。テレビ中継もなかった時代でしたが、ジョーンズに招かれた世界の超一流プレーヤーたちが、そのスーパープレーをあちこちに伝えていったんでしょうね。
サラゼンはそのギャラリーの中にジョーンズがいたことが、すごくうれしかったと語っています。
現在のゴルフ4大メジャーといえば、マスターズのほかに全米オープン、全米プロ、全英オープンがありますが、ひとつのコースでずっと開催されているのはマスターズだけです。
また、出場選手を決めるための予選がなく、歴代チャンピオンや世界ランキング上位者などいくつかの招待資格をクリアしたマスター(名手)だけが招待されるトーナメントもまた、マスターズだけ。超プライベートなオーガスタ・ナショナルGCが年1回だけ、一般に開放されるのです(といっても入場するのは簡単ではありませんが)。
しかもその創設者は「球聖」とも呼ばれ、ゴルファーのリスペクトを集めるボビー・ジョーンズであるということ。これはマスターズを特別たらしめる、とても大きな要因なのです。
(第2回「オーガスタ・ナショナルGCの魔力」に続く)
取材・文/志沢 篤