コント漫才が、僕らにある引き出しだった

――おふたりは設定やシチュエーションがあるコント漫才にこだわっていますが、なにか理由はあるのでしょうか?

阪本 こだわっているというか、僕らはしゃべくりの引き出しが圧倒的に少ないんですよ。

中谷 しゃべくりのネタ、やったことがあんまりないんですよね。

阪本 普通のネタを作ろうと思っても作れなかった。

――逆にコント師になるという選択肢はなかったんですか?

阪本 NSCの最初のネタ見せで漫才をやったので、そこからダラダラと続けてきた感じですね。最初にコントやっていたらコント師にやっていたかもしれない。

中谷 そうかもしれんな。

――漫才では、中谷さんが女性役を務めることが多いですよね。

中谷 あれは良いアイディアが浮かんだとかではなくて、素のままの僕のツッコみがあまりに下手だったんです。たまたま、なにかのネタで僕が女性役をやったのが(ネタを書く阪本的には)良かったみたいで、「もっとこういう言い方をやってほしい」とかいろんな要望をもらうようになって。それが僕らの持つ引き出しだった、というところですからね。

阪本 中谷はこんなにもキモいのに、素のツッコミがイケメンのスタンスなんですよ。

中谷 こんなにもキモいって何やねん(笑)。あんまり上手じゃないという自覚はありますけどね。

――中谷さんの「えっ!」と高い声で驚くところがコントの中でも印象に残ります。「うなげろりん」でも、阪本さんにボロクソ言われているときに発せられることがありますが、あれは日常会話でも同じようなリアクションなのでしょうか?

中谷 いやいや、そういうものではなくて。

阪本 ネタから生まれたリアクションですね。

中谷 阪本からネタ用としてもらった武器なので、ポッドキャストでも使っているという感じですね。

――ちなみにネタはどういったところから発想しているのでしょうか?

阪本 ネタが浮かんでくるとかそんな大層なものはないですね。新ネタライブがあるからそのときにひねり出している感じで。

――ネタ帳に書き溜めているとかもなく?

阪本 全然ないですね。ネタのことを四六時中考えるとかもないです。言葉を選ばずに言えば、ライブに向けておろさなしゃあないからおろしてる。

中谷 ハハハハ!

――強制的に作るタイミングがあるから作っていると。

阪本 そういう時間がないと、僕らふたりともほんまに怠け者なんで。

中谷 ネタづくりはほんま人によりますね。言われなくてもコンスタントに作り続けている人もいますし。

阪本 僕らはそういうタイプではないので、いつでもギリギリで作ってます。

――設定としてはすごくわかりやすいのも特徴ですよね。「ドライブデート」や「夏祭り」、「結婚相談所」など。そういう設定は、ご自身の実体験から生まれるものなのでしょうか?

阪本 僕らは全然ですよ。学生時代に特に恋愛経験とかもなかったので。

中谷 かといってあまり経験してないような突飛なものはできないから、わかりやすい設定が多いかもしれないですね。なんとなく正解がわかるものを作っているというか。

相方である前に友達――その絆とユルさが生むマユリカの行き当たりばったりの笑い_3
相方である前に友達――その絆とユルさが生むマユリカの行き当たりばったりの笑い_4
中谷の豪快な笑い声はポッドキャストの名物。ときに「グフフフフ」とドラえもん(大山のぶ代版)のようになり、阪本から「ドラえもんぶるな」と注意される