成果をあげる各国と、日本の性教育の現在地
日本との比較に挙げた国々では、性教育の成果が結果としてあらわれている。
フィンランドはジェンダーギャップ指数上位常連国。2021年のランキングでは2位となっている。また、積極的に性教育に取り組んだ結果、望まない妊娠や早期の性交経験率が減少したという。
オランダでも、15歳で性体験をしている子どもが男子16%、女子15%とヨーロッパ先進国のなかでは低く抑えられているほか、15〜19歳の妊娠率も1000人あたり3.9人と、世界でもっとも低い国の一つとなっている。
日本はどうだろうか。
2017年の青少年の性行動調査で、大学生の性交経験率が男子47.0%、女子36.7%と、男女ともに2005年の調査から15ポイント以上も低下するという結果が出た。デートやキスの経験率も軒並み下がっている。
また、性的関心も昔に比べて低くなっており、性に関することへのイメージが悪化していることも現在の若者の特徴だ。
これは自分の体を大切にする意識が若者の間で高まっているからかもしれないし、大人の「寝た子を起こすな」という思惑が叶った結果かもしれない。専門家でも一概に結論づけることは難しく、日本の性教育のあり方は現在も議論されている。
諸外国と日本の性教育の実態を比較し、どちらのほうがよりよい教育だと決めつけることは難しい。しかし、社会問題や人権問題とも関わるこの話題について、私たちは常に情報をアップデートしながら考える必要があるだろう。
※紹介した性教育の内容は一例であり、地域や学校によって差があります。
【参考資料】
・教科書にみる世界の性教育(かもがわ出版)橋本紀子、池谷壽夫、田代美江子・編著、2018年
・学校の性教育で“性交”を教えられない 「はどめ規定」ってなに?(NHK)
https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20210826a.html
・青少年の性行動調査(日本性教育協会・2017年)
https://www.jase.faje.or.jp/jigyo/youth.html