費用対効果の合わない難問にロマンを感じた1冊

東大医学部YouTuber・ベテラン中学生を生み出したオススメの名著5選_4

『入試数学の掌握』近藤至徳(エール出版社)

高校3年生からは東大理Ⅲ合格を目指すべく、受験勉強に本腰を入れはじめたベテランち。特に点数の差がつきやすい数学では「問題の意味すらわからない」とレビューに書かれるほど難解な『入試数学の掌握』を愛用していた。

「『総論編』『各論実戦編』『各論錬磨編』の3冊あるんですけど、めちゃめちゃ難しいんですよ。難しすぎて費用対効果が合わないから、理Ⅲ志望の人でも全員やってるわけじゃないですね。僕もめちゃくちゃ数学が好きっていうわけじゃなかったですけど。

もともと『遊戯王』とか『デュエルマスターズ』とかのカードゲームが好きで、数学もどれくらい早いペースで構造化できるかっていう、ゲームとしての楽しさがあって、そこを楽しんでました。本や漫画の趣味と同じく、参考書も普通の人がやらないようなものや、ちょっと人と違うようなものをやってましたね」

また、高校時代はクイズ研究会の活動に打ち込み、全国大会で準優勝。そうした経験も受験の数学で活かされたという。

「クイズの世界でも『この知識は持っていて当たり前』とか『この知識を持っておくと差がつく』とかそういう情報戦があって。このジャンルは来年出そうやな、とか考えながら知識を入れて、戦うためのロジックを構築していくんです。そういう世界観が好きなんで、難解な数学の問題もゲーム感覚で楽しんでました」