「普段は治安が悪い街ではないので…」
直後には時計店のスタッフらが男を追いかけてきた。
「濃紺のスーツを着たスタッフが、革靴をカタカタ鳴らしながら、エスカレーターを滑り落ちるように逆走してきたんです。最後はジャンプして飛び降りてきたので、『ケガするぞ! 何やってんの?』と声をかけました。すると、『泥棒です! 4000万円台の時計を盗られました!』と。ひどく慌てている様子でした」
男性は午後7時55分に110番通報し、自らも地下1階へ男を追った。警察に状況を伝えながら、約5分間行方を捜したという。
「地下1階はスーパーなどがあって、買い物客で混み合っていました。さらには地下駐車場もあり、人混みの中で男を見失ってしまいました」
その後、現場には約20人の警察官が駆けつけた。
中野ブロードウェイでは今年8月25日にも、1階の時計店で男2人がショーケースをハンマーで割り、約2億円相当の腕時計4本を盗む事件が発生している。
この事件ではチリ国籍の男2人が逮捕・起訴された。警視庁は9月17日に施設内の時計店や周辺店舗を対象に防犯指導や講習会を実施していたが、今度は試着中の時計を持ち去る事件が起きた。
事件を受け、近隣に住む40代男性は「またか。こんな事件ばかり起こる街じゃなかった、怖いですね」と不安を口にした。
目撃した飲食店オーナーの男性も、相次ぐ事件に憤りを隠せない。
「アニメと時計の街として、海外の人にも楽しんでほしい場所なのに、立て続けにこんな事件が起きてしまった。これで中野の治安が悪いと思われるのは、地元で商売をしている身として悔しいです」
中野ブロードウェイを訪れていた近所に住む男性も、
「中野駅周辺は再開発も進んで綺麗になってきたのに、こういう事件があるとイメージが悪くなってしまって嫌ですね…。普段は治安が悪い街という感じでもないので。立て続けに狙われているところをみると、高級な時計を置いている店が多いにもかかわらず、警備が甘いとみられているのではないでしょうか」
と語った。
盗まれた時計は事件から3日後、謝罪の手紙とともに店へ戻ってきた。しかし、事件の全容はまだ明らかになっていない。警視庁は引き続き窃盗事件として捜査を進めている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













