10年ぶり、「モンスト」海外再挑戦の勝ち筋
とかく攻めの姿勢一辺倒のIT経営者の言動も目立つ昨今、そのバランス感覚が木村氏の舵取りの特徴のようだ。
「一言で言えば非常に健全。CFO(最高財務責任者)に羽交い締めにされるまでアクセルを踏み込むべきなのかと自問する時はあります。別に積極的に攻めたいわけではないんですけど。
スポーツチームでいうと、現場に専念できたプレイヤー時代のことを一旦忘れ、監督役として挑戦していく意識は、就任当初から結構強くありました」
同社のデジタルエンターテインメント事業を牽引してきた「モンスト」は、インドへ進出したほかフランスの展示会に出展するなど、10年ぶりの海外再挑戦が最近の注目トピックスとなっている。
2014年から2017年にかけて北米、中国、韓国に進出するも苦戦し、台湾・香港・マカオを除き、撤退してきた過去もあり、攻めと守りで言えば再び積極的な攻勢を掛けているように見受けられるが――。
「新規ゲームの開発も含めてゲーム事業にかなりの年間コストを掛けていた時期もありました。ただ、この近年は我々のアセットの強み、ゲームのどういった点がお客様から評価・支持されてきたのかを精査しつつ、『選択と集中』でシェイプアップしてきました」
「モンスト」の場合、事業の成否に直結するコア部分の“ゲームとしてのおもしろさ”は証明されている。ローカライズなどのための開発コストは発生するが、その意味で「スマホゲームの横展開でとるリスク幅は実は非常に小さい」と木村氏は語る。
「ゲーム事業はおもしろいゲームを開発できるかどうかが最大のリスク。料理でたとえると『モンスト』の基本的な味つけが決まっているので、馴染みのない海外の方々に向けた綿密なマーケティングと地道な認知拡大で、その味はきっとわかってもらえると考えています」
とはいえ、先述のようにモンストの海外展開は苦戦の歴史もある。このタイミングで海外再挑戦の決断には、世界的な日本アニメ人気の高まりという環境変化の影響が大きかったようだ。
「モンスト」は積極的にアニメIPとコラボ。長年のプレイヤーを繋ぎ止めると同時に新規ユーザーの呼び水となってきた。
「集英社さんでも様々な人気作品のキャラクターをお取り扱いしていますが、アメリカや中国へ進出した10年前は、モンストオリジナルの新規IPとしての挑戦でした。
『モンスト』が日本の人気アニメキャラの見本市、あるいは推しキャラを操作して遊べるプラットフォームとなった今こそ、積極的に海外へ打って出ていこうという決断に至っています」










