美容、刺青、結婚観…決断の軸にいつもいた母親

──お話を伺っていると、加藤さんの物事を決める際の軸に、いつも「母親」がいますね。

それはあるかもしれません。母は私が美容整形をしたいと泣いたとき、気持ちを汲んでくれた人です。また、さまざまな美容施術を受けさせてくれて、常に視野を広げてくれる存在でもあります。

ただ、私の人生を振り返ってみると、人生の初期において、ありのままの自分を肯定してくれる人の存在がなかったようには感じます。自分が十分に恵まれていることは理解していますが、もっと幼いころから「あなたはあなたのままでいい」と伝えてくれていたら、気持ちがもう少し違ったのではないか――と感じることがあります。

──それは、たとえば口先で「好き」と言われることではなく、もっと奥底の部分での自己肯定感のことですか。

そうです。たとえば大学を卒業してから訪れたガーナでは、肌が白いというだけでモテました(笑)。いまだにSNSを通じて「I miss you」というメッセージが来たりするんです。でもそういうことではなくて、「ただ存在するだけでいい」とありのままを受け入れてもらう経験が、私にはあまりにも少なかったと思ってしまうんです。

母は問題を的確に指摘し、解決することのできる聡明な女性です。鋭い指摘をしてくれる点に感謝をする一方で、母の言葉は時に凶器となって、武器となって私にふり刺さってきたと思います。「きちんとしなければ愛されない」という不安の残骸が今でも残ってます。

ガーナに訪れた経験が大きかったという
ガーナに訪れた経験が大きかったという

──生育歴が自身の恋愛観に影響している部分もありますか。

と言っても、恋愛経験はほとんどありません。結婚して子供が欲しいので、彼を探すためにデートに行きますが、やはり異性といるときは、一番自分の自信のなさを痛感する瞬間です。生きているだけで感じる羞恥心というのでしょうか、取り繕ってしまって、ありのままの自分なんて到底出せない。だから、疲れてしまうんです。

でもそれは男性が悪いのではなくて、自分の自信のなさがもろに出ているだけなんです。その根本を変えないと、恋愛においても人生においても、自分はずっとつらいままだと思います。

──自信のなさを、また「美容整形で埋めよう」とはならなかった理由は。

留学先でルームメイトから「かわいい」と言われたとき、涙が出てきてしまったんです。同時に、これまでの人生で、何も取り繕わずにいる自分を褒められた経験がないことを自覚しました。これは現在でもそうなのですが、いきなり褒められたりすると、なぜか涙が止まらなくなるんです。

たしかに顔を変えてもっときれいになって、スタイルも変えて……という道がないわけではありません。けれども、自分の根本を変えないかぎりは、どんな美女に生まれ変わっても結局人間の奥底にある自信みたいなものがないから、自分はずっと苦しいままだと思いました。

加藤さんの自己肯定感を変えたアメリカ留学
加藤さんの自己肯定感を変えたアメリカ留学
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──自身の経験を踏まえて、もし将来的に加藤さんがお母さんになる日がきたら、どんなことを伝えたいですか。

そのままの自分で愛してもらえる喜びを伝えて、心の栄養を与えられるような母親になりたいですね。子どもにとっての安全基地になりたいです。

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取材・文/黒島暁生 写真/本人提供