週末を満喫するための準備期間
ウィークデーの最終日となる金曜日。
英語には「ハッピーフライデー(Happy Friday)」という表現があります。職場でもお店でも、金曜日になると「ハッピーフライデー!」と声をかけ合います。週末に向けて気持ちが軽くなり、どこか浮き立つような空気が漂います。
午後3時を過ぎると、早々にオフィスから人が消える――。
そんな光景が一般的なのは、オーストラリアです。シドニーは温暖な気候に恵まれ、ビーチもすぐそばにある街。その土地柄もあってか、私が出会ってきたオーストラリア人は、おおらかでオープンな人が多い印象です。
金曜日の午後3時になると、
「今日はもう帰ります。よい週末を!」
と家族のもとに帰る人もいれば、
「仕事を終えて飲みに行こうよ!」
と同僚と誘い合い、そのまま街へくりだす人もいます。
アメリカやイギリスでも同様で、3時とはいかないまでも、4時頃になると仕事を切り上げ、家路につく人や、ハッピーアワーに向かう人の姿があります。
「金曜日=週末の始まり」という意識が強い欧米では、そもそも金曜日の職場での過ごし方も平日とは違います。仕事が定時を超えないよう、あえて余裕を持たせたスケジュールで仕事をするのです。
例えば、夕方以降のミーティングは基本的にNGです。
それどころか、終日社内ミーティングを入れない会社も少なくありません。私が現在働いている外資系企業でも、金曜日は社内ミーティングを入れないことが基本ルールになっています。
会議を詰め込むのではなく、各自が自分の業務に集中したり、顧客とのコミュニケーションに時間を使ったりする。時間にゆとりを持って仕事を終え、気持ちよく週末へと向かうためです。
金曜日は、ウィークデーの最終日であると同時に、週末を満喫するための「準備の日」でもあるのです。
では、日本ではどうでしょうか。
金曜日と言いながらも、実際には月曜から木曜までに処理しきれなかった仕事を片付けたり、週明けに持ち越したくない業務を終わらせたりと、週末が始まる前日だからなのか、むしろ忙しくなりがちです。気分的に「ハッピーフライデー」とはなりにくいのが現実かもしれません。
「よい週末を(Have a nice weekend)!」
金曜日の午後の職場にはこの言葉が飛び交います。ビジネスメールの締めくくりにもよく添えられ、金曜日の挨拶として半ばマナーのようになっています。
同僚や友人と「よい週末を」と言い合う感覚は、日本ではあまり馴染みがないかもしれません。もし、上司からこの言葉をかけられたら――。少し距離が近すぎると感じたり、急にプライベートに踏み込まれたように感じて、戸惑う人もいるかもしれません。













