「歳をとったからできない、ということはない」――100歳の現役プロデューサー・石井ふく子さん

2026年9月1日、100歳を迎えたテレビプロデューサー・石井ふく子さん。『渡る世間は鬼ばかり』『肝っ玉かあさん』『ありがとう』など数々の作品を世に送り出し、世界最高齢の現役プロデューサーとして知られている。

石井ふく子さん(写真/本人提供)
石井ふく子さん(写真/本人提供)

2026年5月の取材時は99歳。「今年100歳ですね」と声をかけると、石井さんはあっけらかんとしていた。

「私、あんまり歳を自分で数えたことがないのよ」

なぜ年齢を気にしないのか。その理由も実にシンプルだ。

「年齢を気にして“歳をとった”と思うと仕事ができなくなるからね。いくつになったからこれができない、ということはないんです」

テレビの世界に携わって約70年。盟友の脚本家・橋田壽賀子さんとは、『渡る世間は鬼ばかり』をはじめ数々の作品を作り上げてきた。

石井さんが一貫して描いてきたのは「家族」だ。

「やっぱり私は一人っ子で、今でも独り身だから、家族のある人が羨ましいんです」

両親が多忙で、幼少期は祖父母に育てられた。祖母を亡くしたときには「すごく悲しくて、毎日泣いていました」という。そんな自身の境遇が、家族への憧れにつながっていった。

一方、作品には「あえて描かない」と決めているものもある。「不倫」と「殺し」だ。

「今の時代は、家族のあいだで起きる悲惨なニュースがあまりにも多いでしょう。あれではいけない」

だからこそ石井さんが描きたいのは、「お互いの心と心が通い合うような家族のドラマ」なのだという。

2026年には「生誕百年記念」と銘打たれた舞台『明日の幸福』を演出。100歳を目前にしてなお、現場に立ち続けた。

長く仕事を続ける秘訣を難しく考えることもない。

「何事も、あんまり考えすぎないことが大切よ」

100歳をゴールにしない。「歳をとったからできない」と自分で線を引かない。昨日までと同じように仕事をし、次の作品を考える。その姿勢こそが、石井さんのいう「現役」なのだろう。