ワーク・ライフ・バランス
日本では週49時間以上働いている長時間労働者は、2023年には全体で15.2%でした。男性に限ると21.8%になります。2010年には全体で23.1%だったので、減少したとは言えますが、フランスでは全体が8.3%であり、ドイツでは4.6%という状況ですから、まだまだ多いことになるでしょう。
このように男性の活動が経済の領域に偏っており、家族で過ごす時間が少ないというアンバランスな状態なのであれば、男女が家族という領域において対等に仕事を分担することは無理だということになります。
家族における平等な関係を作るためには、こうした長時間労働をまず解決する必要があるでしょう。まさに「ワーク・ライフ・バランス」の問題です。
人間活動は経済だけで成り立っているのではありません。経済活動だけではく、他の人間活動をも組み込んだ生活形態が重要なのです。日本ではこれに加えて、通勤の時間が長いという問題があります。これについてはリモートワークなどの働き方の変革も必要だと思われます。
近年の調査でひとつ希望が見えるのは、男性の育児休業取得率が急激に上がっていることです。2020年代に入った頃から10%を超え、2024(令和6)年には40.5%にまで上昇しました。
これに関してはさまざまな働きかけが行なわれた成果のように思えますが、若い層ほど「ワーク・ライフ・バランス」を重視しているということなので、本気の社会的取り組みによって、性別分業が少しずつ解体していくことを願いたいと思います。
戸籍のように、国家により作られたことがわかっている問題とは違って、「性別分業」というシステムは、社会の変化によって徐々に形成されたものです。そして、社会全体の構造に関わるシステムとなっています。
それゆえ、それが変化するには長い時間がかかるでしょう。今の私たちの行動が、すぐに解決に結びつくことはないと思われます。しかし少しずつでも変化を促すことで、社会は気がつかないくらいの速度ではあれ変わっていきます。
たとえば私が若い頃には、女性がサッカーやラグビー、ボクシングなどをすることは考えられませんでした。それが今では何の疑問もなく行なわれています。他方で「夫婦別姓」の問題は、50年近く前から私たち世代が要求し続けてきたことですが、いまだに実現していません。
これを変えるためには、目の前の小さな問題をひとつずつ変革していくことが必要でしょう。













