人間活動のバランス

男女が共に家族・経済・政治という領域に平等に関わり、なおかつ子どもも共に生きようとするとき、最も問題となるのは、家族に関わる活動と経済や政治に関わる活動のバランスをどのようにとるのかという点だと思われます。

これまで経済や政治について男女の対等性を数量的に測る考え方を使ってきましたが、それと同じように考えれば、家族における対等性は男女それぞれが家事や育児に関わる時間により見ることもできるでしょう。男女が同じくらい家族の活動に関わるということです。

政府が2021(令和3)年に行なった調査によれば、6歳未満の子どもを持つ世帯全体において、夫が1日のうち家事・育児に関わった時間は1時間54分であるのに対し、妻は7時間28分でした。

2001年と比べると、夫は1時間6分の増加、妻はほとんど変わらないという状況になっています。夫については、2001年は48分(!)という短さでしたから、改善されてはいるのですが、妻との時間差はまだお話にならないほど大きなものです。

また、『令和二年版 男女共同参画白書』にある男女の生活時間に関する国際比較を見てください(図6)。

妻は7時間、夫は2時間未満…子を持つ夫婦の家事・育児に関わる時間にみる日本の家庭構造 私たちはどのような社会を望むのか_1
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ここでは「有償労働」と「無償労働」という区分がされていて、完全に仕事と家事・育児という分類と重なっているわけではありませんが、大体の傾向は読み取れますので、これを使って日本の特徴を見ることにしましょう。

日本のグラフを他国と比較してまずいえるのは、棒グラフのうち濃い色の部分で示された男性の有償労働の時間の長さが他国に比べて突出していることです。また、棒グラフ全体の長さによって示される1日の総労働時間が、男女とも、他国に比べて長いことがわかります。

そして、折れ線で示された無償労働の男女比が他国に比べ圧倒的に大きい、つまり女性と男性の差が大きいことがわかります。

女性は男性の5.5倍になっているのです。また、男性の方が女性より総労働時間が少ない国が多いのに対し、日本の男性は総労働時間が多いうえ、そのほとんどが有償労働に携わっている時間だということがわかります。

つまり男性は、生活のほとんどを経済の領域において過ごしているということです。そして女性は、男性が勤務している間、ひとりで家庭の労働を行なっているのです。

これらから読み取れるのは、日本ではそもそもの勤務時間が長く、特に男性は会社にいる時間が長いため、家事を行なうことができずに女性がその分を負担しているという構造です。

しかも女性自身も仕事を持っている場合には、勤務した上に家事を担うという負担を負うことになっているのです。男性が経済活動、女性が家族に関わる仕事という性別分業が、日本ではいまだにはっきりした形で続いていることがわかります。