ワタミのノウハウが活きる“新・サブウェイ”

さらに、ワタミならではの強みもサブウェイの顧客満足度を底上げしていると重盛氏は言う。

「サブウェイはかつて、約200店舗しかないにもかかわらず、1週間で平均80件の意見が寄せられていた時期があったそうです。本来、クレームはひとつひとつ精査して、妥当なクレームに関しては繰り返さないように改善しなければなりませんが、サブウェイにはそれができていなかった可能性があります。

セルフレジ以外にもクレーム処理などにワタミ流のノウハウが生かされている(写真/識者提供)
セルフレジ以外にもクレーム処理などにワタミ流のノウハウが生かされている(写真/識者提供)

その点、ワタミは居酒屋経営のプロですから、普段から酒気を帯びた客からのクレーム対応をこなしていますし、そうしたノウハウの蓄積がある。

今は3回同じクレームが出たら本部に上げて精査するなど徹底していて、週に平均13件ほどにまで減らすことに成功していると聞きます」

さらに、ワタミとサブウェイが結びついたことで生まれた大きな付加価値として、ワタミが運営する農園「ワタミファーム」で採れる野菜がある。

「サブウェイの魅力のひとつである野菜について、ワタミファームで採れたものを使えるように供給体制を構築している最中のようです。昨今は食材の安心・安全がとりわけ重視されていますが、生産者販売者双方の”顔が見える関係”になれれば、まさに時代にも合っている。裏側の話でいえば外注した場合の余計なコストも抑えられますしね。

これまでワタミの主戦力になってきた居酒屋という業態は、団体需要が多いので、集客のためにはどうしても価格競争になりやすい。しかし、サブウェイの場合は自社が手がけた素材を使うという付加価値をつけて“商品力”で戦える。この点も、ワタミにとっても魅力だったのでしょう」

レギュラーサイズのサンドイッチならば単品で500~800円程度で食べられる(撮影/識者提供)
レギュラーサイズのサンドイッチならば単品で500~800円程度で食べられる(撮影/識者提供)
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では、もともと持っていた独自性がアップデートされたサブウェイの逆襲は“本物”と言えるのだろうか。

「今の勢いは本物でしょう。埋もれていた魅力の再発見ができ、それを消費者にアピールできた成功例と言っていいと思います。自分たちがこれまで大切に守ってきた個性が年月をかけて磨かれて、値下げやその場しのぎの対策ではなく、“その店の商品を食べる”ことをゴールにするフェーズまで来ているのです。

ワタミは、飲食業界全体がコロナ禍で壊滅的な打撃を受ける中、その苦境を乗り越えてきました。どん底から事業を立て直したあのときの経験が、今回のサブウェイの再建にも活かされているのだと思います」

――日本に上陸した当初から粘り強く貫かれてきた“サブウェイらしさ”は、そのブレなさゆえ、ときに時代の荒波も受けた。しかし、風向きは変わっていく。そのポテンシャルを理解し、現代のニーズに合わせた”変革”を得意とするワタミというパートナーと結びついたことで、大きく飛躍したのだ。

今後もこのタッグが魅せる“逆襲劇”から目が離せない。

(取材・文=蜜ツ冶/A4studio)