数学に教職、アクションに英語…“トシオくん”20歳の現在地

12年経った今、改めてトシオくんというキャラクターをどう捉えているのか。そう投げかけると、意外な答えが返ってきた。

「トシオくんの生い立ちは複雑で……。父親に虐待されたあと、殺されて、あの家にずっといる。だから『かわいそう』という印象を持たれがちなんです。僕は今、大学で教職課程を取っていて、虐待って大きなテーマの一つでもあるんです」

現在、大学3年生の小林は、理系の学部で数学を学んでいる。同時に教職課程も履修しており、その学びのなかで、かつて自分が演じたトシオくんの背景にある「虐待」という問題を改めて考えるようになった。

「いかに第三者が早く気づいて助けられるか。『第二のトシオくん』を生まないためにはどうしたらいいかを考える存在になっています」

教職課程を取っている理由も、根底には「経験を積みたい」という思いがある。

「経験が大事だと思っているので。いかに学生の間にいろんなことを経験するか。それを役者として生かせたらいいなと思っています」

大学で数学を学び、教職課程も履修しているという
大学で数学を学び、教職課程も履修しているという
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実は小林は、子どもの頃からかなりの“マルチタイプ”だった。

「小さい頃から母に『いろんなことをやりたい』って言っていて、多いときは1週間に6~7個くらい習い事をしていた時もありました。体操、水泳、空手、ピアノ、フィギュアスケート、塾、サッカー……。そうやっていろいろやっていた経験が、今生きているのかなって思います」

一方で、20歳になった今、小林が意識しているのは「子役から大人の俳優へ」というステップアップだ。

「大人の俳優として、これから新しく入ってくる俳優さんたちとも一緒にやっていくためには、小さい頃からやっていた経験だけじゃなくて、新しく経験を積まなきゃいけないなって、すごく思っています。今後、大きな役をいただいたときに、子役じゃない自分を魅せられるかが勝負だなと思っています」

最後に、「これからどんな俳優になりたいか」を尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「自分が得意なものを生かしたいです。例えば、運動神経を生かしてアクションをやってみたり、英語も好きなので英語を話してみたり。犬も小さい頃から飼っているので、トリマーとか獣医とか、バイクも好きなので乗ってみたり。そういう、自分だからできることをやってみたいなって思います」

8歳で“最恐の子ども”になった少年は、20歳になった今、自分だけの経験を一つずつ増やしながら、「自分にしかできない俳優」を目指している。

取材・文/木下未希 撮影/三浦龍司