SNSの誹謗中傷よりも世界は…

実際、サファリで肉食動物に出会えなかったことを残念に思っているのは事実です。けれどそれでよかったのではないかとも思います。

肉食動物のワイルドな本能を感じたい! と思っていましたが、実際には自然の中で雄大に生きる草食動物の姿に生命の力強さを感じられたからです。

私に足りないのは肉食動物のような獰猛な強さよりも、草食動物のように草原の広さを信じる視野なのかもしれません。

世界はSNSの誹謗中傷なんかよりもはるかに大きい! 本来の私の評価は、数行の心ないコメントよりもずっと多角的なはずなのです。

そう思えたとき、怖さは少しだけ和らぎました。

〈テレ朝・三谷紬アナ〉「数行の心ないコメント」に傷ついていた…「批判が怖い、失敗が怖い」SNSに疲弊した彼女を救った“サファリの景色”_5

自分が恵まれていることを改めて実感したいし、見えない敵を作ることもよくないのだと、草食動物から自分の在り方を学べました。ライオンにもヒョウにもチーターにも、そして憧れのハイエナにも会えませんでしたが、草を食む動物たちの背中越しに、自分の進むべき姿を見た気がしています。

自分が草原のどこに立っているのか、常に客観的でいられること、そしてその草原の広さをしっかり理解し、大きな深呼吸を繰り返す余裕のある生き方こそ私に必要な考え方でした。

今、SNSを取り巻く環境で悩んでいる方に伝えたい。どうか、少しだけ視線を上げて、すぐ近くを見てください。

画面の向こうの誰かではなく、今日一緒にご飯を食べた人、笑い合った人、黙っていても隣にいてくれる人。そこにあなたの本当の世界があります。

あなたは、草原の中でひとりぼっちなんかじゃありません。少なくとも私も、怖がりながら同じ草原を歩く一人です。その先にまだ見ぬ景色がきっと待っています。

こう思えるようになったのも南アフリカ旅のおかげ。

すぐにでも再訪したいという意欲で溢れています。きっと次に行ったときも、私は肉食動物を血眼になって探すでしょう。けれどまた出会えなくても、がっかりすることはありません。

そこには広い世界があって、草原の静けさの中で、また自分を見つめ直せることを知っているからです。

文/三谷紬 写真/SAKAI DE JUN

スタイリング/石田綾 ヘア&メイク/足立真利子