若者たちが真夏の山に求めるもの
一方、汗を流すこと自体を目的に訪れた人もいた。幼い頃から高尾山に何度も足を運んできた24歳男性は、真夏ならではの魅力をこう語る。
「高尾山には小さい頃から何度も来ていますが、避暑を目的に来たことはないですね。もちろん暑さは感じますが、最初から汗をかくつもりなので、これくらいの気温のほうが運動していて気持ちいいです」
暑さそのものを楽しむ人がいる一方、若者たちの間では、夏のレジャーとして山を選ぶ動きもある。都内の大学に通う18歳から19歳の5人組は、夏休みに入ったのを機に、高尾山を訪れていた。きっかけは、SNSで話題になっている「自然界隈」だという。山や海、川など自然がある場所へ出かけて楽しむ人々や、その様子をSNSで発信するスタイルなどを指す言葉として使われている。
「夏休みに入ったので、みんなで自然を感じられる場所へ行こうという話になりました。『自然界隈』が話題になっていることもあり、初心者向けと言われる高尾山を選びました。
登っていると暑さはありますが、登山道では風が冷たく、思ったよりもすごしやすかったです。もっと暑い日に来るなら、思いきって汗を気にせず楽しみたいですね。山を下りたあとには川で涼めるので、登山と川遊びの両方を味わえるのも最高です」
実際、高尾山口駅前を流れる案内川では、水遊びを楽しむ人たちでにぎわっていた。都内から訪れた32歳の女性も、登山を終えたあと、川へ立ち寄ったという。
「もともとは登山目的で来ましたが、川で遊んでいる子どもたちを見て、足だけでも浸かってみようと思いました。海やプールとは違う冷たさがありますし、水も透き通っているので、眺めているだけでも癒やされます」
とはいえ、木陰や川で涼めるからといって、高尾山なら常に暑さを避けられるわけではない。店舗関係者によると、そもそも夏は登山客の少ない季節で、今年は天候の不安定さも人出に影響しているのではないかと指摘する。
「例年、夏は登山客が少ない印象です。今年はゲリラ豪雨のニュースが目立っている影響もあるのか、特に少なく感じますね。人が増え始めるのはお盆が明けてからで、11月の紅葉シーズンにピークを迎えます。
避暑目的で来る人もいますが、高尾山は標高599メートルの低山なので、麓と山頂で大きな気温差があるわけではありません。日陰では涼しく感じても、真夏は山頂まで登ればそれなりに暑いですよ。この時期は木々の葉も一部が黄色がかり、枯れ始めていますし、山の景色を楽しむという意味でも、夏はあまりいい季節ではないかもしれません」
「山なら涼しい」という期待は、天候や過ごす場所によって、当たりにも外れにもなる。真夏の高尾山は、暑さから完全に逃れられる場所というより、自然のなかで自分なりの「涼」を見つける場所なのかもしれない。
取材・文・撮影/集英社オンライン編集部ニュース班













