前作は初回視聴率に「爆死」の声も…

『VIVANT』は、世界観にどっぷり浸かって楽しむタイプのドラマだ。主人公・乃木憂助という人物の謎、人物全員に裏の顔があるのではないかと見せる作り、命のやり取りをする緊張感。その空気に入り込みたい人にとって、放送直前に俳優本人の“素”を見すぎると、少しノイズになることはある。

堺雅人がバラエティーで楽しそうに撮影について話している姿を見た直後に、乃木のシリアスな表情を見る。『VIVANT』のような濃い作品では、そこに引っかかる人がいても不思議ではない。

主演の堺雅人 (C)産経新聞社
主演の堺雅人 (C)産経新聞社

しかも前作の『VIVANT』は、かなり情報を伏せた状態で始まった。何のドラマなのか、誰が何者なのか、序盤は視聴者も手探りだった。ドラムのような個性的なキャラクターも、放送後に話題となり、SNSで広がっていった。

つまり前作は、「見てから驚く」ドラマだった。

それに対して今回は、「放送前から絶対に見てください!」と全力で呼びかけるドラマになっていた。内容こそある程度伏せているが、出演者は番宣をしまくる。局を挙げて関連特番や振り返り企画を展開し、ドラマの考察までして、初回前から大きな祭りを作っていく。前作とはかなり違う戦い方である。

ただ、結果だけ見れば、このやり方は大成功だった。

前作の初回視聴率は11.5%。もちろん、これでも十分に高い数字だ。しかし、あれだけの超大型ドラマとしては低いほうで、一部メディアには「爆死」とまで評されていた。

『VIVANT』は、放送を重ねるごとに口コミと考察で盛り上がり、最終回で19.6%まで伸ばした作品だったのだ。

そう考えると、第2シーズンの初回18.8%はすごい。前作最終回の熱を、ほぼそのまま続編初回に持ち込んだ数字と言っていい。

ここで考えたいのは、「世界観が壊れる」という批判は、本当に『VIVANT』にとって致命的なのか、ということだ。

最近は、Netflixなどの配信ドラマが人気を集めている。硬派で重厚な作りのオリジナル作品も多く、一気見によって作品世界にじっくり没入する楽しみがある。もちろん、それはそれで魅力的だ。

そんな中で『VIVANT』は、あくまでテレビの延長線上にある“テレビドラマ”だということを押し出しているように見えた。放送前から情報番組やバラエティーで盛り上げ、初回放送前後に特番を組み、次回までの1週間もニュースや関連番組で熱をつないでいく。

それも、今回は2クールだ。おそらくTBSは、この先も毎週毎週『VIVANT』の空気を積み重ねていくだろう。