月間の人的損耗3万人に対し新規採用は2万7,000人

2026年のロシア軍では、戦死、負傷、行方不明を合計した人的損耗が月3万〜3万4,000人に達し、新規採用約2万7,000人を上回っている可能性が高いと推計する。公式統計ではないが、現在の戦い方を維持するには大量の補充が必要である。

契約金を積めば財政が傷む。動員を拡大すれば国民の反発と国外流出を招く。2022年9月の部分動員後には、数十万人が国外へ向かった。正確な純流出は不明だが、社会に大きな衝撃を与えたことは確かである。

怖いのは、国内の強硬派は撤退を求めていないことだ。

国家総動員、キーウ政府地区への攻撃、ゼレンスキー暗殺、欧州のドローン工場への攻撃、戦術核の使用まで唱える者がいる。クレムリンがこれらの最過激な要求をすべて採用しているわけではない。しかし、戦争目標を下げず、攻撃を続けるという点では同じ方向を向いている。

いまだ和平への見通しが立たないウクライナ戦争
いまだ和平への見通しが立たないウクライナ戦争

「うまくいかないのは攻撃が足りないからだ」

失敗を認めず、戦争目標を下ろさない政権と強硬派の論理を一言で表せば、まさにこれである。

戦争を始めた判断が間違っていたとは考えない。目標が過大だったとも、犠牲が大きすぎたとも認めない。成果が出ないのは、ウクライナが抵抗するからであり、西側が武器を送るからであり、国内に覚悟の足りない者がいるからだと考える。

失敗の原因を自分の判断以外に求め、さらに多くの兵士、戦費、攻撃を要求する。究極の他責思考である。

次の強硬策を呼び込む危険信号

プーチンの窮地を、政権崩壊の前兆と考えるのは早い。反戦運動は抑え込まれ、治安機関も健在である。ロシアには2026年を通じて戦争を続ける能力が残っている。

だが、強い政権と余裕のある政権は同じではない。

燃料不足を隠せず、国民の不安を抑えられず、戦費を民間へ転嫁し、動員の反動を恐れながら兵士を求める。しかも停戦すれば、自らの権威が傷つく。

プーチンは戦争を続ける力を持つ。しかし、自ら設定した戦争目標によって、戦争を終わらせる選択肢を狭めている。

追い詰められた指導者が必ず妥協するとは限らない。失敗を認められない独裁者は、損失を取り戻そうとして賭け金を増やす。失敗するたびに、さらに大きな攻撃が必要だと考える。

ロシアの燃料不足は単なる生活ニュースではない。戦争がプーチンの国内基盤を削り始めた証であり、同時に次の強硬策を呼び込む危険信号である。