民放とは桁違いの番組制作費を投じているが…

ただ、テレビ東京の吉次弘志社長は、NHKが特殊法人で民間企業とはコンテンツの作り方も資金の投じ方も根本的に違うことを強調。そのNHKが海外の収益性を重視するNetflixのようなプラットフォームに対して、民間企業と同じようにコンテンツを提供することは自制的であるべきだとの発言をした。

Netflix(写真/shutterstock)
Netflix(写真/shutterstock)

民間の放送会社は営業努力によってスポンサーを獲得し、制作費を捻出。苛烈な視聴率競争を勝ち抜いて次のスポンサーを見つけるという経営努力を重ねている。いっぽう、NHKは安定的かつ莫大な受信料収入を得て番組を作っている。

視聴率は重要な指標だが、NHKにとっては組織の存続を左右するかと言えばそうでもない。それだけにNHKが民放と同じようにコンテンツを販売して稼ぐことには若干の違和感もあるかもしれない。

にもかかわらず、巨額の番組制作費を投じているからこそ、コンテンツを流通させる意義も大きい。

NHKは2025年度の番組制作費が2997億円だった。日本テレビ放送網は895億円である。NHKは全国ネットワークでニュースを放送しているが、ニュース番組の制作費は933億円だ。それを差し引いても2000億円以上がドラマやドキュメンタリーなどの番組制作に投じられている。

しかし、コンテンツ販売などによる副次収入はNHK単体で78億円しかない。協会全体でも175億円である。日本テレビ放送網は番組販売収入が109億円だ。莫大な番組制作費をかけているNHKが、機会損失をしているようにも見える。コンテンツの再利用を進めなければ、支払った受信料が無駄にもなりかねない。

視聴者の中には、受信料を払って作ったコンテンツをプラットフォームへ販売することや、収入を得ているにもかかわらず受信料が据え置きであることに反発する声もあるようだ。とはいえ、NHKはすでにドラマやドキュメンタリーなどをDVDとして販売している。Netflixのようなプラットフォームに配信することは、流通経路が変化しただけに過ぎないと見ることもできるのだ。