成長期の子どもたちには本人が注意喚起も

この言葉から分かるのは、中村の短いソックスが単なるファッションではないということだ。ふくらはぎ周辺の締め付けを減らし、自分の体質と向き合いながら、少しでも良いコンディションでプレーするための工夫なのである。

特に中村のようなアタッカーは、スプリント、切り返し、急停止、再加速を何度も繰り返す。足がつりやすい体質であれば、ソックスの圧迫感や違和感を減らすことは、プレーの質を保つために重要な調整になり得る。

ただし、中村はこのスタイルを子どもたちに無条件でまねしてほしいとは言っていない。むしろ、本人は安全面を強く呼びかけている。

「みんなも自主練習のときは、ソックスを少し下げて、お気に入りの選手になりきりながら、たくさん練習してほしいと思います。けれど、試合やチーム練習のときは危険なので、ソックスを下げるのはやめて欲しいです。 僕もプロになるまでは、ソックスをしっかり長く履いてプレーしていました」(本人Instagramより、以下同)

プロ選手は、自分の体の特徴、用具のサイズ、試合中のリスクを理解したうえでプレーしている。さらに、クラブや代表チームのスタッフ、審判の確認もある。だが、成長期の子どもたちが見よう見まねでソックスを下げたり、すね当てをずらしたりすれば、接触プレーでけがをする危険が高まる。中村が「プロになるまでは、ソックスをしっかり長く履いてプレーしていました」と明かしている点は、とても大切だ。

中村敬斗の短いソックスは、個性であり、体質に合わせたプロとしての選択でもある。しかし、それは誰にでも同じように勧められるものではない。大切なのは、ルールを守り、安全を確保したうえで、自分に合ったプレー環境を整えること。

集合写真でも一人だけソックスの短さが際立つ(前列中央)(写真/JMPA)
集合写真でも一人だけソックスの短さが際立つ(前列中央)(写真/JMPA)
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中村自身も「大きなケガをしてしまうと、夢を追い続けることも、夢を叶えることも難しくなってしまいます」と語っている。

華やかなプレーの裏には、選手それぞれの悩みや工夫がある。中村敬斗の短いソックスも、その一つだ。見た目の珍しさだけでなく、体と向き合いながら最高のプレーを目指すプロの姿勢として見ると、足元の印象も少し違って見えてくる。

取材・文/集英社オンライン編集部