元マル暴刑事の取り調べで“落ちた”平山被告

翌23日も両被告の公判は継続。公判では、平山被告が遺体発見翌日に警視庁大崎署管内の交番に出頭した後、「カン、キラトの2人が偶発的に殺したが他には自分以外に関与した者はいない」とのストーリーを最初主張したが、すぐに供述を翻していたことが2人の警察官の証言でわかった。

23日に最初に検察側証人として出廷したのは大崎署のA刑事だ。24年4月17日朝、出頭直後の平山被告を聴取したA刑事は、その際の供述内容を以下のように証言した。

「(平山被告は)『車を貸した仲間が那須で死体を捨てて燃やした。仲間の名前はカンとキラトだ』と答えた。さらに、『被害者夫妻には自分がアメ横で仕事を紹介してくださいと声を掛けて最初に知り合ったが、夫妻の名前は知らない』と説明した。

『カンとキラトが“不動産の話をする”と言って夫妻に会いに行った後、キラトが電話で“やっちまった”と言ってきて、殺したのだと思った』と供述した。

平山被告(写真/本人SNSより)
平山被告(写真/本人SNSより)

さらに平山被告は『スマホの地図アプリで遺棄場所を探しカン、キラト両被告に伝えた』と供述。『遺体が見つかったのでカンに出頭しようと誘ったが、結局一人で出頭してきた』と平山被告は話し、『他に事件に関与した者はいない』と意思表示した」(A刑事)

夫妻と知り合った経緯など、支離滅裂な内容だが、平山被告が任意聴取を拒否することを避けるため、A刑事は敢えて不審点を追及しなかったという。

だがそこで大崎署に到着した栃木県警捜査一課のB刑事が代わって詰めると供述はひっくり返る。次に証言台に立ったB刑事は次のように証言した。

「平山には不良っぽい印象を抱いたので、自分は『元マル暴』(暴力団担当刑事)でヤクザや不良を相手にしていたと説明すると徐々に心を開いてくれた。

『家族はどうなの? 彼女はいるの?』と問うと平山は泣き出したので『落ちた』と思い、『その涙が物語っているじゃないか』と声をかけた」(B刑事)

平山被告が入れていたカエルとダルマの刺青
平山被告が入れていたカエルとダルマの刺青

さらに平山被告は“仮の話”と前置きし、「H君」という男の話を始めたという。こんな内容だ。

「H君はクラブで出会ったヤクザと繋がりのある“兄弟分”から『始末やれる人を探している』『最後、すなわち(死体)遺棄までで1400万円の報酬を渡すので実行役を2人探して欲しい』『ただしこれは強制でなく任意だから』と言われた。

そこでH君が、同じクラブで出会ったカンとキラトに依頼したところ、2人は了承。遺棄現場の那須は『依頼主の土地だからバレない』と最初から決まっていた。

H君は犯行用に車を貸し出し、ガムテープやガソリン、結束バンド、延長コードなどの凶器をあらかじめ用意していた。兄弟分からはボストンバッグに入った1400万円を受け取り、カンとキラトに500万円を渡した。

しかし間も無く遺体発見が報じられたので、H君は兄弟分に出頭を促された。この時に口裏合わせした内容が(A刑事に話した)調書の内容で、兄弟分からは名前を出さないよう指示された」(B刑事が紹介した平山被告の供述内容)