日本代表にはややメリットが多いか

短期的には、メリットも小さくない。日本は運動量、連動したプレス、攻守の切り替えを武器にするチームであり、暑熱環境下では給水と体温管理の機会が増えること自体はプラスに働く。

特に北中米の夏は、湿度や日差し、移動による負荷も大きい。3分間で水分を取り、呼吸を整え、次の局面に入れることは、終盤の運動量を保つ助けになる。

戦術面でも利点はある。森保一監督のチームは、試合中に相手の立ち位置を見ながら修正する力を重視してきた。ハイドレーションブレイクは、選手を集めて守備の基準点やプレスの方向、サイドの使い方を整理する時間になる。

相手がシステムを変えた直後や、押し込まれている時間帯には、貴重な再設計の機会になるだろう。

一方で、デメリットも明確だ。日本が主導権を握っている時間帯にブレイクが入れば、相手に無料の立て直し時間を与えることになる。

日本の強みは、相手を走らせ、判断を遅らせ、時間の経過とともにズレを広げるところにある。そこで試合が止まれば、相手の疲労や混乱をリセットしてしまう可能性がある。

総合すれば、日本代表にとっては、わずかにメリットが上回るとみる。理由は、この制度を準備によって活用できるチームだからだ。ブレイクを単なる給水時間と考えるのではなく、22分、67分を試合設計に組み込めるか。誰が監督の指示を受け、誰に伝達し、再開直後の1分をどう使うか。

そこまで準備できれば、ハイドレーションブレイクは不確定要素ではなく、戦術上の資源になる。

特に選手交代で試合の流れを大きく変えることの多い日本代表にとっては有利に働くことが多いだろう。

21日のチュニジア戦後半での選手交代(写真/JMPA)
21日のチュニジア戦後半での選手交代(写真/JMPA)
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ただし、ビエルサ監督の問題提起は軽視できない。選手保護と商業的価値は両立し得るが、後者が前者を上回って見えた瞬間、制度への信頼は揺らぐ。ハイドレーションブレイクは、暑さから選手を守るための3分間である。同時に、サッカーが何によってサッカーであり続けるのかを問い直す3分間でもある。 

取材・文/集英社オンライン編集部