30秒枠のCMが1億円以上に
前出の『アス』によれば、ハイドレーションブレイク中には広告放映が可能となり、ブレイク開始直後の20秒と再開前の30秒を除いた最大2分10秒をCMに使える。30秒CMなら1回のブレイクで最大4本、1試合で8本前後の新たな広告枠が生まれる計算だ。
メキシコの現地紙では、104試合全体でハイドレーションブレイクが計624分、つまり約10時間分の新たな広告在庫になるとの試算を紹介している。潜在的な広告収入は約5億ドル。これは円換算すると、約808億円に相当する。
また、米Foxの広告収入について、ハイドレーションブレイクだけで2億5000万ドル(約404億円)から3億ドル(約485億円)規模になるとの試算もある。さらにアメリカ代表戦など注目カードでは30秒枠が75万ドル(約1億2100万円)に達するとの見方もあり、放映権料の回収に直結する巨大な商機になっている。
この仕組みは、アメリカのスポーツ文化と相性がいい。人気のバスケットボール、アイスホッケー、アメリカンフットボールはいずれも、クオーター制やタイムアウト、プレー間の停止を前提に発展してきた。
競技のリズムは細かく区切られ、その区切りがテレビ広告やスポンサー露出と結びつく。視聴者にとっても、中断中にCMや解説が入ることは自然な体験だ。
一方、サッカーは違う。時計は止まらず、プレーの連続性そのものが緊張感を生んできた。もちろん、VARや負傷対応、交代によって現代サッカーの中断は増えている。
それでも、あらかじめ決められた商業的に利用可能な中断が前後半に1回ずつ入る意味は大きい。北中米W杯のハイドレーションブレイクは、サッカーを完全に米国型スポーツへ変えるものではない。だが、テレビにとって売りやすい形へ競技を少し近づける制度であることは否定しにくい。
では、日本代表にとって、この制度はメリットとデメリットのどちらが大きいのか。













