コンビニ店舗数より多い不動産仲介会社
現代はSNSで悪評がすぐに広がる時代でもある。こうした評判を気にしてか、24年11月には親会社の住友不動産が「お客様の利益を損なう『囲い込み』が起こり得ない、疑われようがない体制構築を推進しています」とわざわざ表明したほどだった。
信賞必罰の徹底により事業を拡大してきた住友不動産グループだが、今回の事件を機に、行き過ぎた歩合の見直しが必要だと判断したのだろう。
不動産業界に限らず、歩合によって給与をコントロールするという手法は業界を問わず広く用いられているが、近年はこうした取り組みが逆効果となるパターンがよく見られる。
トラブルが続出している生命保険業界でも、社員による金銭詐取問題が明らかになったプルデンシャル生命やソニー生命は完全歩合制に近い報酬体系で知られており、高額の報酬につられて入社した社員が焦りから不正に手を染めた例が報道されている。
経済が右肩上がりの昭和や、デフレで人が余っていた平成ならともかく、企業が大きくなればなるほど、歩合で人を動かすという文化はリスクになりつつある。
もっとも、前述のA氏は「不動産業界で歩合が完全になくなることはない」と断言する。仲介会社は大手企業から零細まで幅広く、日本全国に13万2000社以上ある。これはコンビニの店舗数の2.3倍の数字にあたる。
監督官庁・国交省は、金融業界の金融庁と比べて権限小さい
人材の流動性が高い業界でもあり、他社へ転職したり、独立したりするのも容易だ。大手企業が歩合制度を見直したとしても、大金を稼ぎたいというモチベーションを持った社員は歩合制の会社に移るだけだという。
そもそも、金融庁に厳しく監視されている金融業界に比べ、不動産業界は監督官庁である国土交通省の権限が小さい。前述の囲い込みに関する指導もあくまでポーズであり、実際に囲い込みがあったことを証明するのは困難だ。
また、歩合にこだわる、ハングリー精神のある社員のほうが優秀であることが多い業界でもある。消費者である我々にできることといえば、大企業の看板を盲信するのではなく、人を見る目を磨くしかないのだろう。
文/築地コンフィデンシャル 写真/shutterstock













