エルメスのショップには商品がない!?

あなたがエルメスの高級バッグである「バーキン」、あるいは「ケリー」を買いたいと思ったとしましょう。

しかし、今エルメスのお店に足を運んでも、バーキンに出会える可能性は極めて低いといえます。バッグで有名なエルメス店舗の多くは、バッグを置いていないのです。

写真/Shutterstock
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通常のブランドショップと異なり、エルメスには極めて少ない生産量と高い、極端な需要という需給ギャップがあります。

生産面でみると、エルメスのバッグは、熟練した職人が手作業で製作しているため、一つのバッグが完成するまでに手間と時間がかかり、作られる商品数が決まっています。

しかしバーキンやケリーなどの人気モデルは、その希少性とブランド価値から世界中で高い需要があるため、生産量が需要をはるかに下回り、常に品薄状態なのです。

これにエルメス側のブランド戦略としての、意図的な希少性の演出が加わります。

エルメスは、なかなかバッグを買えないことによる「運命的な出会い」という体験を顧客に提供しているともいえます。

あえて店頭に並べない、あるいはごく限られた数しか出さないことでバッグの特別感を演出しています。

簡単に手に入らないことで、ブランドの神秘性を高めているのです。

文/坂出 健

『贅沢と欲望の経営史 あなたはなぜ今日もスタバに行ってしまうのか』 (光文社新書)
坂出 健
贅沢と欲望の経営史 あなたはなぜ今日もスタバに行ってしまうのか
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ISBN: 978-4334109486
あなたはなぜ割高でも、”実存のドトール”より”演出のスタバ”に行くのか? その秘密はコーヒーの味ではなく、現代資本主義社会という巨大劇場の構造と、そこで踊らされる私たちの欲望にある。砂糖やコーヒーから始まった「贅沢品」(ラグジュアリ)を、ダイアモンドの独占供給、エルメスやLVMHのプレミアム戦略、ユニクロやザラのマーケティングから「7つの大罪」を満たすGAFAまでを1本の線で繋げ、世界を回す贅沢品の本質に迫る。
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