「金太郎、現場をしめる。」(集英社文庫・コミック版3巻収録)

力士の握力はどれくらい?

力士の怪力はどれほどのものなのか

『サラリーマン金太郎』第31話で明かされるのが、一ツ橋土木の社長の強さの秘密だ。

前話では、この社長が金太郎に握手を差し出し、そのまま手を締め上げる場面が描かれている。金太郎といえば、それまで喧嘩で負け知らずの男だ。だが握手をしただけで指の骨が軋み、思わず膝をついてしまう。その直後、一撃でのされてしまった。

この社長、実は元力士で、十両まで昇進した経験を持つという。

ネット上などでは「力士は世界でも最強クラスに喧嘩が強い」などと言われることもある。とはいえ、さすがに漫画的な誇張にも見える。だが力士の握力を知ると、この描写もあながち荒唐無稽とは言い切れない。

一般的な成人男性の握力は、おおむね40~50kg前後と言われる。

これに対し、力士の握力は70kgを超えるケースも珍しくない。中には80kg以上という記録もある。一般男性のほぼ倍に近い数値だ。

そう考えると、元十両の男が本気で握手を締め上げれば、骨が軋むほどの痛みになるという描写も、決して大げさとは言い切れない。

もっとも、このエピソードの面白いところはその後の展開にある。

一度はその怪力に完全敗北を喫した金太郎だが、第31話では再び一ツ橋土木の社長と向き合うことになる。

作業員たちを集めた現場で、金太郎は社長に握手を求める。前回と同じ流れだ。当然、周囲の作業員たちも「またやられるのではないか」と見ている。

だが次の瞬間、状況は一変する。苦悶し始めたのは、今度は社長のほうだった。

金太郎は前回とは逆に左手で社長の手を握り返し、そのまま強く締め上げる。

「左利きってことか……!」

社長がそう漏らした直後、金太郎は社長の股間を蹴り上げてKOしてしまう。

元十両の怪力に一度は屈した男が、今度は真正面からやり返す。敗北からわずかな時間で訪れるこの痛快な逆転劇もまた、『サラリーマン金太郎』らしい豪快な見どころの一つと言えるだろう。