信頼回復への厳しい道のり
さらに、制度的な背景として「交通安全対策特別交付金」の存在が指摘されている。交通違反の反則金(交通反則者納金)は、年間約500億円にものぼり、これが道路整備などの予算として都道府県に分配される仕組みになっている。
反則金収入を原資として予算が組まれる以上、警察組織全体として一定の検挙数を維持しなければならないという構造が、現場の「実績稼ぎ」を助長し、ひいては拡大解釈や捏造といった不正を誘発する一因となっている。
「2023年にも福岡県警で約1600件の交通違反の取り消し、交通反則金など計約1500万円の返還手続きが発表されました。その際、男性警部補(57・当時)が停職6か月の懲戒処分になり、同日付で依願退職しました。
しかし、こうした処分は個人に責任を押し付ける『トカゲの尻尾切り』でしかなく、黙認の風土は残ったままになり、再発防止も形骸化しやすくなる。やはり組織の構造改革がなければ、問題はくり返されるでしょう」(前出・佐藤氏)
神奈川県警が引き起こした今回の事件は、警察という「法の番人」が、自らの実績のために罪のない市民を陥れたという点において、公権力による重大な裏切り行為だ。
失われた信頼を取り戻すためには、専従チームによる被害者救済の徹底はもちろんのこと、第三者による監視体制の導入や、適切な人員配置、実績評価システムの抜本的な見直しが不可欠である。
警察が自らの非を認め、隠蔽体質を脱ぎ捨てない限り、市民が安心して道路を走り、警察を信頼できる日は遠いだろう。今回の2700件もの不正を、単なる一小隊の暴走として片付けることは決して許されない。
取材・文/集英社オンライン編集部













