緊急交代もポジティブな2つの理由
現地でWBC取材経験のあるスポーツライターも欠場する2選手の不在を嘆く。
「平良は先発経験もあり、複数イニングも任せられ、連投や回またぎが必要になりがちな国際大会に向いています。石井も球界No.1と言っても過言ではないくらい中継ぎ適性が高く、右打者の内角を突く球が武器。彼らが抜けると、7〜8回のセットアッパー、火消し役、延長戦のロングリリーフとブルペン陣のパズルが一段難しくなります」
ただ、暗雲ばかりではない。今回新たにメンバー入りした藤平と隅田には、平良や石井にはないストロングポイントがある。藤平のように短いイニングで最大出力を出せる投手、隅田のように流れを切れる左腕投手が入ったことで、組み合わせの幅自体は広がったという見方もある。
その意味で継投は固定よりも、相手打線・打順に合わせてブルペン陣で最適解を見極めることになる。
「過去の優勝チームを見ても、先発の“看板”より、リリーフの“厚み”が結果に直結しやすい傾向があります。2009年は決勝で延長戦に突入し、9回以降の継投と守備の集中力がモノを言いました。2023年も準決勝メキシコ戦で一時リードを許しながら、救援陣が大崩れせずに踏みとどまったからこそ、終盤の反撃につながりました。
WBCはタイブレークを含め延長戦も想定しての投手起用が必要となるうえ、試合間隔が詰まることで『どの投手をいつ、何球使うか』の判断にも迫られます。だからこそ、一人の絶対的クローザーに依存せず、7回以降の終盤を複数の“質の高いリリーフ陣”で回せるかがカギ。そもそもWBCは誰か一人二人の選手個人の力で勝ち負けが決まるような大会ではありません」(前同)
さらにもう1つ、今回のメンバー交代は不幸中の幸いにも大会直前や大会期間中ではなく、大会までまだ準備期間の残された中での発表となった。首脳陣にとっても投手陣の役割を再編成するための猶予があり、追加メンバーもしっかりと準備して大会に臨める。
怪我人が相次いだことは不安を呼ぶが、逆に言えば、開幕前に課題が可視化されたとも言える。修正の時間が残されている今、首脳陣がブルペンの再編を整備し、無念の欠場者が出たことで団結力が高まれば、前回大会のように逆境を覆すドラマが見られるはずだ。
取材・文/集英社オンライン編集部













