「誤進入」か「確信的」か…視界不良の恐怖

なぜ、彼らは管理区域外へ足を踏み入れたのか。現場付近には、コース外への進入を防ぐためのロープやネットが設置されていたという。

当日の天候について、前出の関係者は「すごい雪が降っていて、視界は良くなかった」と振り返る。

「現場にはロープやネットなどで『こっちから先は行ってはダメですよ』という標示はあるのですが、全部に張り巡らすことができるわけではないので、当然隙間があります。『ロープの切れ目があるから行っていいんだ』と思ってしまう人もいるかもしれません。

警察としては、視界不良で誤ってコース外に出てしまったのか、それともバックカントリー目的で意図的に入ったのかは、ご本人が亡くなっているため断定できません。

ただ、後続の客が入ってきている状況や視界の悪さからすると、前の人のトレースにつられて入ってしまった、あるいは道を間違えた可能性も否定できない状況です」

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
写真はイメージです(写真/PhotoAC)

警察は「道を間違えた可能性も否定できない」と言うが、八海山スキー場の担当者の意見はそれとは食い違う。

「私が着任してから、西側でこうした事故が起きたのは記憶になく、少なくとも今シーズンでは初めてのケースです。現場付近は、一般的な感覚を持っていれば『ここは入ってはいけないな』と見て分かるような場所です。東側とは違い、誤って入ってしまうような場所ではないのですが……」(スキー場担当者)

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
写真はイメージです(写真/PhotoAC)

同スキー場では、パトロール隊が毎朝の点検で危険箇所にロープを張るなどの対策を講じているほか、パンフレットや現地の巨大なコースマップで「立入禁止」と明示している。

ただ、事故が起きた場所では、ロープなどは設置されていなかったという。しかしこれについても担当者は「ロープなどなくても、通常なら立ち入らないはずの場所だ」と言う。

さらに警察は「激しい降雪による視界不良」を今回の事故が発生した要因の一つに挙げているが、これについてもスキー場側の認識とは若干の食い違いが見られた。

「確かに前日から雪は降り続いていましたが、目の前がまったく見えないような『ホワイトアウト』の状態ではありませんでした。当日は日曜日で多くのお客様が来場され、通常通りリフトも運行しており、この件以外に事故や遭難は一件も起きていません。

雪で方向感覚を失い、迷って行ってしまうほどの悪天候だったかというと、そこまでではなかったと思います」(同前)

猛吹雪で前が何も見えなかったのか、それともある程度の視界はあったものの判断を誤ったのか。当事者が亡くなっているいま、その真相を知るすべはない。