関東と関西で違う明らかな味付けの「方針」

先に関西のつゆから解説していきましょう。関西のつゆは薄口醬油で味付けされます。塩が併用されることもありますが、ここでは単純化するために、それも薄口醬油の塩分量に換算して説明します。

もちろん醬油だけだとしょっぱい(関西弁で言うなら「からい」)ので、そこにはみりんも加えられます。みりんの量は様々ではあるのですが、基本は醬油と同量。その場合、だし・薄口醬油・みりんの標準的な割合は12:1:1です。塩分濃度を計算すると、約1.3%。

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
写真はイメージです(写真/PhotoAC)

ただしこれは概ね最も濃い、庶民的とも言える(つまりかつてうどんが「ご飯のおかず」にもなっていたような)パターンで、関西にはもっと薄味のうどんつゆもあります。

僕がかつて京料理の板前さんに教わった割合は16:1:1でした。これはお吸い物よりは少し濃い味付けで、塩分濃度約1%。これ以上薄味のものは、無いわけではありませんが少なくとも外食では稀なはずなので、関西のつゆの塩分濃度はだいたい1〜1.3%と言っていいのではないかと思います。

対して江戸前のかけ蕎麦のつゆは、ご存知の通り濃口醬油が使われ、もちろんそこにみりんも加わり、8:1:1が標準とされます。塩分濃度で言うと約1.6%。

ただしこれもまた様々なパターンがあります。

ざっくりとした傾向としては、チェーン店や新しめの店ではこれより薄く、老舗ではこれよりさらに濃い店も散見される印象です。

ある有名な老舗のかけ蕎麦は、びっくりするほど濃く、僕の推定では6:1:1くらいです。つまり2%。その分つゆの量自体は少なく、蕎麦はそこに半分くらいしか浸っていません。ざる蕎麦のつゆを少しだけ薄めて温めたものとも言えるでしょう。

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
写真はイメージです(写真/PhotoAC)

このように関東と関西では、醬油の種類や色だけではない、明らかな味付けの「方針」の違いがあります。その違いはいったいどこから生まれたのでしょうか。