アメリカは「利益」にならない戦争はしない

ベネズエラでの作戦があっという間に終わったように、現代の戦争はスピードが命だ。もし中国が短期間で台湾を制圧し、既成事実化してしまったら、はたしてアメリカは助けに来るだろうか。

私は来ないと思う。ウクライナを見ればわかる。核を持つロシアとの全面戦争を避けるため、アメリカは兵を送らなかった。

今回のアメリカの動きを見て「やっぱりアメリカは頼りになる」と思うのは早計だ。トランプは「アメリカの利益」にならない戦争はしない。台湾を守ることがアメリカにとって割に合わないと判断されれば、あるいは中国との取引材料にされれば、台湾は見捨てられる可能性が高い。

ウクライナはロシア侵攻の序盤、一瞬で陥落することに耐えた。抵抗があったからこそ、世界は支援に動いた。台湾も同様だ。中国の電撃作戦に耐えうる防衛力を高めておく必要がある。そして日本は、台湾有事が自国の存亡に関わることを理解し、傍観者ではなく当事者として手を差し伸べる準備をしなければならない。

路地裏でカラスがゴミを漁るように、国際社会という荒野では、強者が弱者を食い物にする。きれいごとは通用しない。マドゥロの惨めな姿は、力なき正義がいかに無力か、そして「核を持たざる独裁者」がいかに脆弱な存在かを教えている。

日本は、この「核保有国だけが優位に立つ世界」でどう生き残るのか。それが私たち日本人に問われているのである。

文/小倉健一  写真/shutterstock