名実ともに「クソキット」ですね。
――社内の反応で、「これは想像していなかったな」と感じたことはありましたか。
安部 普段は企画に関わらない部門の人や、話したことのなかった派遣さん、パートさんが話しかけてくれるようになったことです。「私は絶対うんち派」「私はうんこ派」とか、笑いながら声をかけてくれました。
この企画をきっかけに、社内でのコミュニケーションが増えた、笑顔が増えた、という実感はあります。本当に、他にはない企画だったと思っています。
――もし続編をやるとしたら、「次はここをやりたい」と思っていることはありますか。
安部 アプローチの部分ですね。漫画でもアニメでもいいのですが、キャラクター性は、もう少し訴求したかった。この子たち(ウンコたち)が動いて、しゃべっているところを、十分に見せられなかったな、という思いはあります。
それができていれば、「2個、3個並べたい」と思ってもらえたかもしれない。その点は、反省として残っています。
――発売後の反応を踏まえて、「ウンコスルデイズ」を、改めてどんな商品だと捉えていますか。
安部 プラモデル好きの方から「これを子どもに渡しても、結局ガンダムを欲しがりました。」って言われることが、結構あるんですよ。でも、それでいいと思っています。
例えば親子で一緒に模型売り場に行ったときに、お父さんがこれを見つけて、子どもに「あ、うんこあるじゃん。これ買ってやるよ」って言う。そこで「いや、僕ガンダムがいい」って子どもが言ったら、結果的にガンダムファンが1人増えるわけじゃないですか。それって、すごく大事なことだと思っているんです。
人って選択肢を出されると、何かしら1つは選ぶ、みたいな話があると思うんですけど、恐竜と、ガンダムと、うんこが並んでいて、「どれにする?」って聞いたときに、この商品じゃなくて、恐竜でもガンダムでも選んでもらえたら、それでいいと思っています。
結果的に選択肢が増えて、会話のきっかけになっているっていう意味では、意味のある商品だったんじゃないかなと。そこをプラモデルファンの方にも、そう受け取ってもらえたら嬉しいな、と思っています。
――では、最後に改めて、「ウンコスルデイズ」を一言で表すとしたら?
安部 名実ともに「クソキット」ですね。半分冗談、半分本気ですが、笑いながら話せる。誰かが叩いても、ギスギスしない。「あんなのあったよね」と言えるキットって、他にないと思います。
〈前編はこちら【「いかに簡単に、きれいな“うんこ”を作れるか…」なぜBANDAI SPIRITSは異色のおもちゃを商品化したのか】〉
取材・文・撮影/ライター神山













