「うんこしかない」企画が動き出した経緯
1988年生まれの安部さんは、高専から大学院まで進み、国立で機械工学を学んできた。ただ、ロボットアニメを見て「自分も作りたい」と語る同世代を横目に、次第に「自分で作ること」よりも「次の世代への種まき」への意識が強くなる。2017年にBANDAI SPIRITSの企画チームに入り、SDガンダムを中心にロボット系作品やデジモンなどさまざまな商品を担当し、「ウンコスルデイズ」を発案することになった。
――まず、「ウンコスルデイズ」は、いつ頃、どんな流れで生まれた企画だったのでしょうか。
安部豊さん(以下、安部) 今から4年前、2021年頃ですね。もともとはオリジナルの「動物変形」企画を考えていたんですが、それが途中でストップしてしまって。「もう新企画を出すのはやめようか」という空気になっていたときに、僕の大先輩が「もう一回だけ、絶対に子どもに刺さるモチーフで、オリジナルを作りたい」と、すごく真剣に言ってくれたんです。
そのとき、正直迷いました。この雰囲気で「うんこ」って言っていいのかな、と(笑)。でも考えた結果、「いや、うんこしかないな」と。恐竜よりも、乗り物よりも、動物よりも、子どもにとっては最強のモチーフじゃないですか。そこから企画が動き出しました。
――現在は大人の反応も目立ちますが、企画段階では、どんな層を一番に想定していたのでしょうか。
安部 最初は、6〜8歳の日本の男の子に完全に絞っていました。僕の主観も入っていますが、6〜8歳って、親におもちゃを買ってもらう境の年齢だと思っているんです。そこを過ぎると、お小遣い制になり、カードゲームやデジタルゲームに移行したりして、おもちゃから離れやすくなる。
だから、会社としても、業界としても、一番取りにいかないといけない年齢層だと考えています。
また、海外展開を強く意識しすぎると、各国への配慮が加わりどうしても企画のトガりがなくなってしまいます。そこで今回は、あえて「日本の6〜8歳の男の子」に振り切りました。途中のイベントでの反響も鑑みて「男児に限らなくてもいいのでは」という調整は入りましたが、軸は最後まで変えていません。













