「2人目は躊躇してしまう」現役世代の悲鳴
こうした負担の偏りは、現役世代の将来不安に直結している。
3歳の娘を持つ都内在住の30代後半の会社員男性は、
「社会保険料や税金の負担が重すぎて、手取りが驚くほど減っている。高額療養費の改悪で月に数十万円も払う可能性や、これからさらに負担が増えることを考えると、もしもの時のために貯金せざるを得ない。2人目を作るのは躊躇してしまう」
と訴える。
また、埼玉県在住の30代の独身女性は、
「国が『高齢者を優遇する』というメッセージを発し続ける中で、子どもを作るのはどうなのかなと思ってしまいます。その子が不幸になるのではないかと不安」
と口にする。都内在住の社会人1年目の男性からは、
「あまりにも現役世代が冷遇されており、今の手取りでは子どもを持つなんて無理だ。自分の将来のためにNISAを始めるので精一杯」
という声が漏れた。
政府は年3.6兆円規模の少子化対策を目指すと掲げているが、一方で現役世代の可処分所得を奪い、高齢者負担の適正化を先送りする姿勢を続けていれば、出生数の減少に歯止めがかかるはずもない。少子化による働き手の減少は、人手不足を加速させ、最終的には社会保障制度そのものを維持不能にするリスクをはらんでいる。
「高齢者の票」を意識した政治的な配慮から脱却し、現役世代にお金を回すという明確な構造改革を実行しない限り、出生数のグラフが上向くことはないだろう。今まさに、日本の未来を左右する決断が求められている。
取材・文/集英社オンライン編集部













