ファッション、ポーズ、コメントまでが“ジャンボ”流

スウィングやクラブだけではありません。その独特なファッションを真似して、ジャンボ尾崎さんに成り切ろうという意気込みを感じさせる人はいくらでもいました。

派手な柄のルーズフィットシャツに3タック4タックのダボダボシルエットの派手柄パンツ。(ゴルフを)知らない人が見たら、ちょっと後ずさりしそうなスタイリングですが、これがカッコよかった。
なぜなら、ジャンボ尾崎さんは超一流のアスリートとして鍛えられた肉体を持っており、さらに180センチを越える長身でしかも腰高。だからこそカッコいいのです。
ゴルフ場に行くと、こういうスタイルをした「ミニジャンボ」(言葉としては変ですが)がゴロゴロいました。足元はもちろん、ジャンボ尾崎さんが開発したスパイクレスシューズ「J’s」。いろいろなタイプがありましたが、映画『華麗なるギャツビー』に出て来るような、白黒コンビのウィングチップが最強(!?)でした。筆者もそれらしいスタイリングに挑戦していた時期もありましたが、ほどなく断念しました。当然の帰結だと今では思います。

1987年発売のレコード「Summer Love」。海辺で白いスーツに身を包み、缶ビールを片手に…ジャンボ尾崎さんらしいジャケット(キャニオン)
1987年発売のレコード「Summer Love」。海辺で白いスーツに身を包み、缶ビールを片手に…ジャンボ尾崎さんらしいジャケット(キャニオン)
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トーナメントの優勝インタビューでの、敬語ではなく友人と話しているような当意即妙な受け答えや、特徴的なキングコブラを思わせるガッツポーズなど、すべてはそれまでのスポーツ選手の常識を覆すものでした。残念ながらこれに関しては一般人がマネる機会はほとんどありませんでしたが。

プロゴルフ界にとどまらないジャンボ尾崎の教え子

シニアツアーには参戦せず、レギュラーツアーにこだわり続けたジャンボ尾崎さんは、近年は若手の育成に注力されていました。主宰する「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」からは、米メジャー2勝の笹生優花、米メジャー1勝の西郷真央、2025年の日本ツアー年間女王の佐久間朱莉など多くの有力選手が輩出されています。

こういったプロの世界でのジャンボ尾崎さんの教え子は、ほかにもたくさんいます。しかし、TVのトーナメント中継やお正月の特番などで活躍する「神」を追いかけ、ドツボにハマることも厭わずスウィングをまね、似合うかどうかはさておきスタイリングをまねし続けた世の多くのアマチュアゴルファーたちも、ジャンボ尾崎さんの教え子といえるのではないでしょうか。

文/集英社オンライン編集部