ついで買いで客単価増を図るサイゼリヤ

大企業の中で唯一無二とも言えるのが、値上げしない宣言をした「サイゼリヤ」だ。

ただし、2025年の国内の客単価は844円で、2021年比で13%増加した。1人あたりの皿数が増えたことが要因だが、これこそドンキ・ホーテなどディスカウントストアが得意とする「ついで買い」の飲食店版だ。

物価高騰の中、庶民の味方として根強い人気の「サイゼリヤ(撮影/集英社オンライン)
物価高騰の中、庶民の味方として根強い人気の「サイゼリヤ(撮影/集英社オンライン)
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サイゼリヤは他のファミリーレストランと比べて価格が安い。ついつい他の料理も食べたいと、衝動的に注文してしまう。インフレが生み出した飲食店の新たな消費動向と言えそうだが、極限までコストカットするサイゼリヤの戦略を真似できる会社はそう多くないだろう。

サイゼリヤの肝は海外店で、多くは上海や広州など中国エリアが中心だ。日中関係の悪化や中国景気の低迷が心配である。海外事業の収益性に影が差すと、戦略転換を迫られる可能性もありそうだ。

競合のすかいらーくの客単価は王将と同じく20%上昇している。ガストを中心にメニュー開発などを進めているが、今後のキーブランドになるのが2025年2月に都内に初出店した「資さんうどん」だ。

資さんうどんへのリブランドを図ることで、店舗の収益改善を図ることができる。同じすかいらーくグループのガストやバーミヤンなどとは全くの別業態なので、顧客の食い合いも解消されるというわけだ。

ココイチやすかいらーくのように、M&Aで別業態を引き入れるというのは、値上げが一服した企業のトレンドの一つとなりそうだ。牛丼の松屋や吉野家がこぞってラーメン店を買収する背景にも、同一ブランドでの成長に限界が見えてきたからだろう。

インフレが飲食業界の新たな方向を示し始めている。

取材・文/不破聡