都内23区の住宅街に建つある寺院「お酒が入っている方はマスク着用の協力が得られない」

除夜の鐘が中止となる理由は近隣からの苦情だけではない。

鐘撞き堂の老朽化や、感染症拡大防止など、参拝者への配慮から中止にするケースも見られる。

都内23区の住宅街に建つある寺院は、「お酒が入っている方はマスク着用の協力が得られないので」と中止の事情を説明した。

「今年は『除夜の鐘』は中止の予定でございます。インフルエンザなどの感染症がまだ結構流行っていますし、大晦日は皆さんお酒が入った状態で来られます。マスク着用のご協力をいただくのがなかなか難しい状況の中で、100歳を超える方もお越しになりますので」

写真はイメージです(PhotoAC)
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住宅街の中に建つこの寺では、「近隣から苦情は一切ない」という。「毎日6時に鐘を撞いていますが、いまだかつてどなたからも苦情を言われたことはありません。ただ、感染症の拡大防止と、酔っ払いの方がなかなか言うことを聞いてくださらないので…」と住職はため息をついた。

12月に入り、SNSでは「除夜の鐘」の中止をめぐって「やめてほしくない」「クレームは気にせずに思いっきり鳴らしてほしい」などの声が相次いでいる。

写真はイメージです(PhotoAC)
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長く親しんできた風習が変わっていくことに戸惑う声があるいっぽうで、時間を早めたり、ネットでのライブ配信を取り入れたりするケースや、事前予約制・有料化を図る寺もある。除夜の鐘はいま、静かに多様化の途上にあるのかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班