原作ありきの作品を演じることの「怖さ」と向き合い方

上白石はこれまでも、『子供はわかってあげない』(2021年公開)や『パリピ孔明 THE MOVIE』(2025年公開)など漫画原作の実写映画作品に多数出演してきた。すでに多くのファンに愛されている原作キャラクターの実写版を演じることは、どのようなプレッシャーがあるのか。

――原作のある作品を演じるときと、オリジナル作品を演じるときとでは、役との向き合い方に違いはありますか?

原作がある作品に挑むことは、怖さもある半面、材料がたくさんある状態でもあります。私は結構、“妄想癖”があって、原作のない作品だと「この役はどういう人が好きなのだろう」「普段どんな服を着ているのだろう」と、自分の中で役の世界を広げることができる。

でも、原作がある場合は、そのキャラクターのルックスや身に着けているもの、どんな環境で生きているかといった情報がすでにそろっているので、役作りをしやすい一方、すでにある型の中でどう自分らしさを出すか、という難しさも感じています。

だから、原作やアニメを何度も見返す中で、「とにかく自分がその作品を愛すること」が一番大事だと思うようになりました。自分自身が一番のファンになれたら、きっと役としても成立するし、その役を全うできる。そう信じることが、自分なりの作品との向き合い方ですね。

――今作の原作である漫画やアニメもご覧になりましたか。

見ました。何日かに分けて見る予定でしたが、あまりの面白さに一晩で一気見してしまいました。今作は自分にとっても新境地になるので、脚本と照らし合わせながら見ていきました。

「とにかく自分がその作品を愛すること」と原作への向き合い方を語る上白石萌歌 (撮影/矢島泰輔)
「とにかく自分がその作品を愛すること」と原作への向き合い方を語る上白石萌歌 (撮影/矢島泰輔)