30代に向けて「どれだけたくさんの種をまいていけるか」

10代の頃から『義母と娘のブルース』(2018年/TBS系)や『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(2019年/日本テレビ系)など数々の人気ドラマに出演してきたが、当時は「学業との両立も大変で、将来の具体的なイメージが持てなかった」と語っていた上白石。25歳の今はどんな未来を思い描いているのか。

――少し先の話になると思うのですが、20代後半から30代に向けて、どんな表現者になっていきたいですか。

気付いたらもう25歳で、もっと遠い未来だと思っていた30歳を目前にすると、自分自身がまだまだ幼稚だなと思います。でも、先輩方からよく「20代で自分が植えた種が、30代になると芽吹く瞬間がある」と聞くんです。

だから今は「これは違う」「自分のやりたいことじゃない」と決めつけずに、いろんなことにチャレンジして、フィールドを広げていきたいなと思っています。あと5年の間に、どれだけたくさんの種をまいていけるか。そんなことを意識しながら日々を過ごしています。

――今、上白石さんが挑戦してみたいと思っている役柄や作風はありますか?

今回は学生役でしたが、最近は社会人や専門職など、職業を持つ役をいただくことが増えてきました。だからこそ、いろんな職業の人を演じてみたいなと思っています。あとは、これまであまり母親の役をやったことがなかったのですが、「子を持つ母の気持ちってどんなものなんだろう」と想像することも多くて、母親の役にも挑戦してみたいです。

やっぱり俳優って、年齢によっていただく役がどんどん変わっていくものだと思うんです。小さいころからいろんな役をいただいてきましたが、少しずつ“大人の役”が増えていくのを実感していて、その変化も含めて楽しんでいけたらいいなと思っています。

後編「上白石萌歌が挑む新境地と実写作品への向き合い方」へつづく 

取材・文/木下未希 撮影/矢島泰輔
上白石萌歌さんスタッフ:ヘアメイク/恩田希(資生堂)、スタイリスト/道端亜未