国内のトップ選手が選ぶ移籍先とは

最近の巨人には、有力選手がフリーエージェント(以下「FA」)で移籍して来なくなってしまった。その原因は3つ考えられる。

一つは「国内のトップ選手が移籍先にMLBを選択していること」だ。ダルビッシュ有、大谷翔平はいわずもがな、現在海を渡って活躍する選手を列挙すれば、一目瞭然である。

ソフトバンクの千賀滉大がニューヨーク・メッツ(2023年~)、楽天の松井裕樹がサンディエゴ・パドレス(2024年~)、というように、MLB挑戦を選ぶケースが大半だ。

移籍する際に、「ポスティングシステム」を活用できるのも大きい。移籍先の球団から譲渡金を受け取れるこの制度は、球団側にも大きな恩恵をもたらしている。

ポスティングの好例を挙げると、投手では西武の菊池雄星がシアトル・マリナーズ(2019年~・現在はロサンゼルス・エンゼルスに移籍)オリックスの山本由伸がロサンゼルス・ドジャース(2024年~)、DeNAの今永昇太がシカゴ・カブス(2024年~)。  

打者でいえば、広島の鈴木誠也はシカゴ・カブス(2022年~)、オリックスの吉田正尚がボストン・レッドソックス(2023年~)といったところだ。このように国内のトップ選手のほとんどがMLB挑戦を熱望するのが現状だ。

そこで巨人である。近年、巨人にFAで移籍した大物選手は、2018年オフに広島から来た丸佳浩しか見当たらない。2020年オフにはDeNAから梶谷隆幸、井納翔一が移籍したが、梶谷は度重なる故障に苦しみ、井納にいたってはまったく使い物にならなかった。

この期間、FAを行使した選手がいなかったのかといえば、もちろんそんなことはない。年号が平成から令和に代わって以降の6年間で、FA宣言して国内の別の球団に移籍した選手は延べ18人。

令和以降、FAで国内球団に移籍した選手(2025年シーズン終了時点まで)
令和以降、FAで国内球団に移籍した選手(2025年シーズン終了時点まで)
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2022年オフには西武の森友哉がオリックス、同じく2022年に日本ハムの近藤健介がソフトバンクにそれぞれ移籍。さらに、2023年はオリックスの山﨑福也が日本ハム、2024年はソフトバンクの石川柊太がロッテを新天地に選んだ。