リアルを追求し続けるSupremeの魅力
「Supremeって、米国のブランドなの?」
これは、友人たちからしばしば聞かれる質問です。日本ではSupremeの人気が高く、まるで国内発のブランドのように思われているのかもしれませんね。
たしかに、コムデギャルソンやジュンヤワタナベなどとのコラボレーションは日本でも人気が高く、ボックスロゴのフーディー(フード付きのスウェットシャツ)はリリースされれば即完売。「裏原系」と呼ばれるカルチャーを経て、いまやSupremeはストリートの枠を超えて支持される世界的なブランドです。
ブランド戦略もさることながら、実際に働いていて思うのは、Supremeの魅力はより内面的な――「リアル」を追求し続ける姿勢にもあるように思えます。
Supremeは、創業者のジェームス・ジェビアが営むニューヨークの小さなセレクトショップから始まりました。グッチのベルトやポロのシャツ……いわゆるハイブランドとストリートアイテムを「自分らしく」着こなすスケーターたちのスタイルを、ファッションブランドとして昇華させたのが、Supremeの始まりです。
今もなお、その精神は変わりません。モデルに起用されるのはいわゆる「プロ」のモデルではなく、現場のショップスタッフやスケーターたち。デザインチームも、ファッション業界出身者である必要はありません。
大切なのは、Supremeというブランドの世界観を理解し、共感できるかどうかです。とはいえ、その世界観を体現させるテクニカルデザイナーは、ファッションへの深い理解と体系的な知識、そして高い実務能力が求められます。
すでにお話ししたように、Supremeは働き方もかなり「ユニーク」です。
基本的に残業はありませんし、週末出勤もなし。定時で終わらない場合は、「気合が足りない」と個人の責任を追求するのではなく、スタッフや予算を増やして問題解決を試みます。前職と比べても、これは大きなカルチャーショックでした。
社内の空気もいい意味で「独特」です。いわゆる上下関係は希薄ですし、パワハラや上司からのプレッシャーは皆無です。いわゆる「Fワード」はたまに飛び交いますが(笑)、差別的な発言がなければ問題視されません。
創業者のジェームス自身は、今でもデザインチームと定期的にミーティングをして、ロゴのついたタグの種類や位置、フィット感まで細かくチェックしています。
また、「本当にリアルなストリートでその服を着たい人がいるのか」を確認するためにも、入ったばかりのスタッフに「このデザインについて、どう思う?」と聞くなど、さまざまな角度から意見を求めてきます。意見を聞かれた方も忖度をせず、思ったままの意見を伝える。そんなフラットで風通しの良さを感じます。
アートやカルチャーなど自分たちが「かっこいい」と思ったものを引用し、再定義するサンプリングの手法を含めて、自分たちが本当に「かっこいい」と思えるものを追求する。その哲学がSupremeの大きな魅力だとも思います。
創業当初から変わらない「リアル」へのこだわりと、それを支える組織としての成熟度。働く環境としても、クリエイティブな環境としても、ここまで一貫したブランドは、世界でも珍しいと思います。













