長寿を売り物にするセールスマンはいつからいた?
イリノイ大学の生物人口学者で、私の友人でもあるジェイ・オルシャンスキーは、次のように述べている。
「長寿を売り物にするセールスマンは、何千年も前からいた。じつのところ、私はそれを世界で2番目に古い職業だと思っている。彼らは、自分たちでもってもいなければ、測定も制御もできないものを売ろうとしている。『若返り医療』を売りにする医師が近くにいたら、財布の紐を締めよう」
友人にこの話をするとき、これほど権威のある情報源を引用できて嬉しく思う。しかし友人たちは動じない。「じゃあ、海藻はどうなの?」などと聞いてくる。希望は限りなく湧きつづけるものだ。
そうして、しわ取りクリームにさらにお金を費やす。老いが人生にとって普通のことだと頭ではわかっていても、誰ひとり逃れられない道だと知っていても、理屈で説明のつかない無意識のレベルで、がんばれば、想像力を働かせれば、時間を欺く最初の人間になれるかもしれないと思ってしまう。
もうやめよう。
歳をとるのは避けられない。でも、どのように歳を重ねるかは変えられる。おそらくあなたは、人生のうち30年ほどを高齢者として過ごすのだ。折り合いをつけていこう。逃れるには死ぬしかない。永遠の若さという幻想を手放せれば、今後の計画に真剣に取り掛かることができる。どんな高齢者になりたいか、真剣に考えられるのだ。
かっこよくてイケてる高齢者だろうか。余裕があって超然とした、まじめな高齢者だろうか。優しい仲介者になるか、事実を率直に語る鋭い高齢者になるか。
若い人のキャリア形成を手伝うか、あるいは90歳にして尊敬される方法を背中で見せるか。史上最高の祖父母になるか。70歳以上の女性に似合う、おしゃれな服を開発するデザイナーになるか。環境保護を推進するか、地域の保護に努めるか。長寿の概念を変える方法はいくらでもある。














